数週間前のことだ、黒子君が犬を拾って来たのは。その犬は黒子と目がそっくりで小金井君が名付けたことによりバスケ部で飼うことになった。おかげで癒しはできたが部費がかなりきつい。だからこれ以上動物を拾ってきても飼うことができないのは承知の上。 「あなたも分かってるはずよ…! 拾ってあげたいけどそんな余裕はないの!」 「そこを何とか! リコちゃん!」 リコに向かって頭を下げる彼女の腕の中には小さくてふわふわの猫。真っ白な毛並みに色の薄い青の瞳はどこか黒子君を思わせる。 「うちはバスケ部なのよ!? 動物を保護する場所じゃないわ」 「そうだけど」 「皆も何とか言ってよ、これ以上は練習に支障が出るって」 バスケ部にも説得を試みるリコの目論見はいとも簡単に打ち砕かれた。 「別にいいんじゃね?」 「俺猫派だしー。水戸部も賛成だって」 「はっ、猫が寝込む!」 「伊月ーちょっと黙れ」 「……」 「リコちゃーん…」 「分かったわよ! 飼う方法は何とかするとして、練習はしっかりすること! それでい?」 合点! 皆の元気のいい返事が体育館に響く。今日ここに、テツヤ三号が誕生した。 1225~1231 |