レモンスカッシュ | ナノ

家に戻ってバスケ部も終わった頃を見計らい、黄瀬君にメールを打とうと携帯を取り出す。「部活おつかれさま」と一言だけ送信。送信しました。と表示されたその直後、携帯が鳴り送信エラーが起きたとのこと。

「え……? あ、れ? なんで?」

その後、何度か試してみたが結果は変わらず、メールも送れず。アドレス変えたんだ、と理解するのに少し時間必要だった。アドレスを変えたならそのうちその旨を伝えるメールが来るのではと思い待ったが、結局、携帯は静かなままだった。
翌日、学校で紫原君に聞いてみるとアド変したとのメールが来たといっていた。

「そっ…か、お、送り忘れたのかな」
「そうじゃない? 一斉送信で誰か飛ばしちゃうって俺もよくあるし。でもどうして急にアド変したんだろうね?」
「さあ? でも、そ、うだよね。そのうち黄瀬君からメール来たときまた登録すればいいよね」

だから大丈夫。そう何度も呟き、どうしても浮かんでしまう悲しい想像を取り払う。
例えば――わたしが黄瀬君にメールをしてしまったから。だからアドレスを変更したのではないか。
悪い方に、最悪な方に考えてしまう自分に嫌気がさした。こんなのはただの被害妄想じゃないか。わたしだって理由もなしに、気分転換にアドレスを変えたくなることがある。きっと黄瀬君も。
だから大丈夫。大丈夫。大丈夫に決まっている。
連絡先を知らなくったって、学校で会えるし大丈夫だから、お願い、悪い方に考えないでよ。

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