いろんな人に聞いてみると藤枝さんは確かに休んでいる最中、学校に来ていた。けれど、何もせずに戻って行ったところを見た人がいた。ああ、俺は酷い事を言ってしまったと、気付いた時には、遅かった。 藤枝さんの隣。そこは俺の居場所だけど、そうじゃなくて。今はもう紫色した巨人が居座っている。そこは俺の場所だったのに。俺の入る隙なんてどこにもなくて。 俺でさえ藤枝さん、としか呼べなかったのにアイツは花音ちんと呼んで。一瞬でも付き合っていた俺より仲が良くて。 俺といた時に見せたことのない、心底楽しそうな笑顔で。 俺と別れたと知るや否や嫌がらせはなくなって。 黄色い犬のストラップはゴミ箱の中で。代わりについていたのがアイツとお揃いのもので。 身勝手なのは分かっている。もう一度彼女と話がしたくて近付こうとしたけれど紫のアイツが頑なに邪魔をして叶わなかった。一人でいるところを狙ってみても彼女が俺を避けてしまう。俺はこんなにも藤枝さんを傷つけていたのか。 これは俺が初めて失敗した女の子との、とても悲しいお話。 |