今日はバイトが休み。なので万事屋に行ってみようと思います! 新八君に内緒で。手土産も忘れずに、こっそり万事屋に向かい、吃驚させてやろうと思いついた。住所はこの前貰った名刺に書かれていたから問題ない。意外と近いようだ。名刺を頼りに歩いていくと二階建ての建物に辿り着いた。一階にはスナックお登勢、その上には大きく万事屋銀ちゃんと書かれた看板があった。ここか、と階段を上りインターフォンを押す。 ぴんぽーん。 「はーい」 中から聞き慣れた新八君の声がした。ガラガラとあけられる玄関。出てきたのはやはり新八君だった。わたしの顔を見て驚いた声を上げる。 「えっ…琥珀さん!?」 「やほー来ちゃった」 奥からはドタドタと騒がしい足音。銀さんも出てきた。 「いらっしゃーい琥珀ちゃん! 何? 俺に会いに来てくれたの?」 「うーん、どうかな」 銀さんに、っていうか銀さん達に会いに来たんだけどな。新八君はなんでいるの!? とでも言いたいような顔をしている。 「まあま、入って入って」 背中を押され中に入ると、本当にいた。でかい犬。酢昆布をかじっている赤いチャイナ服の女の子。白い肌に髪にはおだんごがついている。 私を見て「客アルカ?」と少し変わった言葉遣いをした。 「かっ、かわ…」 「皮?」 「皮がどうかしました?」 「あっ、こっちの話」 (可愛いじゃないかぁぁああ!) チャイナちゃんはわたしのことをお客さんだと思っている。新八君が紹介をしてくれた。 「琥珀さん、こっちが神楽ちゃんです」 「初めまして、新八君家でお世話になってる琥珀です」 握手をしようと手を出すと快く握ってくれた。…めきめきいってるのは気のせい。 「よろしくネ!」 とびっきりの笑顔。 もう、いいですか。いっちゃっていいですか。 「神楽ちゃん可愛いー!」 握っている手を自分の方へ引き寄せ抱きしめた。もう可愛すぎるよ、この子。やばいやばい! とはしゃいでいると銀さんと新八君が眉間に皺をよせ此方を睨んでいた。神楽ちゃんは何故かドヤ顔。銀さんがもういいだろ!と私たちをベリッと剥がす。 そして私の手にぶら下がっている袋をチラチラ見る。 「あ、これ。お菓子買って来たんだ」 はい、と袋を銀さんに渡すとそれはもう嬉しそうな顔をした。眼キラキラしてる。 「ありがとう琥珀ちゃん!」 今度は銀さんが両手を広げ私に抱き着こうとした。だがそれを新八君と神楽ちゃんが止める。神楽ちゃんに至っては飛び蹴りで。そして、銀さんは床とキス。 「セクハラで訴えますよ」 「琥珀に抱き着いていいのは私だけアル」 地に伏す上司に凍てつくような視線で暴言を吐き容赦なく蹴りが飛ぶ万事屋は今日も平和です。 |