ドルチェ | ナノ

「お待たせしました」

予告通りお客さんとして来てくれた土方さん。注文された団子を一皿運んだ。いつもの隊服ではない紺色の着流し。休みなのかな。
サンキュ、と受け取ると彼は懐から何か取り出しブチュブチュと団子にかける。
団子は黄色く染まる。暫くしてようやく現状を理解する。え? マヨネーズ? 団子に?
衝撃的過ぎてじっと見ていたらわたしがその団子を食べたいものだと勘違いされた。

「なんだ宮本、食いたいなら言えよ」
「いや、まさか」
「遠慮すんなって」

腕を引っ張られ、隣に座らされる。マヨネーズは嫌いじゃないよ。でもそんな。サラダにかけるくらいだよ、これって普通だよね!? 土方さんが凄いだけだよね!?
ぐいぐい団子を押し付けてくる、その眼は心なしかキラキラしていた。
いりません。
そう言おうと口を開けばマヨまみれの団子が口に押し込まれた。喉に詰まる。

「どうだ、うめぇだろ」

誇らしげな土方さん。すみませんマヨネーズの味しかしないんですけど…。吐き気と涙を堪えると土方さんは満足そうに私が食べきれなかった団子を口に含んだ。

(あ、)

本当に、本当に軽い気持ちで間接キスですね、と笑うと(怒りのせいか)顔を真っ赤にした土方さん。

「なっおまっ、馬鹿なこと言ってんじゃねーよ!」
「えっ、す、すみません…………あ、総悟だ」

土方さんと総悟は仲が悪い。らしい。
土方さんはわたしとの間接キスがよっぽど嫌だったのか、まだ顔が赤くそわそわしている。わたしの声と総悟に気付いていない。
何メートルか離れたところにいる総悟はこっちに来いとでも言うように手招きをした。
土方さんから離れた瞬間、
土方ァァァ!! という叫び声とともに発射されるバズーカ。

ドガァーン!

黒煙が立ち込める中、黒く焦げた土方さんがふらりと姿を見せる。お店は半壊。満足そうに笑う総悟。

「総悟ォォォ!!」

雄叫びを上げ抜刀し総悟を追いかける。その日、店長は泣いた。
こともあろうか真選組に店を壊されたことに。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -