いつものように部室の扉を開けるとそこには、クラッカー(馬鹿でかいの)を構えたみょうじっちと、その後ろにいるいつものメンバーを見た。何してんだ、と思うより早くクラッカーが俺に向けられていることに気が付く。にたりと笑ったみょうじっちがクラッカーのひもを引き、盛大な音が鳴る。ひらひらと舞い落ちる紙吹雪に暫く呆然といしていたが、ハッと我に返った。 「……え、な、んスか?」 「きーちゃんの誕生会だよ!」 満面の笑みで答えた桃っちに、初めて今日が自分の誕生日だったことを思い出した。 「誕生会なんて、いいんスか? 赤司っちの許可とか…」 「それなら問題ありません! このわたしがちゃんと許可をもらってきたから」 「ああ、みょうじの厚意を無下にするわけにはいかないからね」 それがお前の誕生日だったとしてもな。ギラリと光る赤司っちの眼光怖い。なんか怒ってないっスか。俺なんかした? ひとり頭を抱えているとみょうじっちが何かを企んでいるような笑顔をみせた。 はい! 黄瀬君、わたしたちからプレゼント! 引っ掛かるところはあるが、今は、素直にこの人たちの厚意が嬉しい。プレゼントに近づきお礼を言うと、早く開けてと急かされた。人が一人すっぽり入ってしまいそうなほど大きな箱。赤いリボンを解き箱を開けると、黒子っちが無表情で箱から飛び出してきた。彼の右手には俺のために用意されたと思しきケーキが。クラッカーに次いで驚いたが嬉しさに勝り涙腺が緩む。 「お、俺、感動っスよー!」 黒子っちにそのまま抱き着こうとすると黒子っちは手に持っていたケーキを、何の容赦もなく、俺の顔面へと投げた。 「勘違いしないでください。僕はみょうじさんに頼まれたから、仕方なく、この箱に入っていたんです」 黒子っちを皮きりに、どこから取り出したのか他のみんなもケーキを構える。青峰っちの渾身の力で投げられたケーキが俺にヒットする。緑間っちも珍しく参加していた。俺めがけてケーキを撃つ。べしゃあ! 頭に被った。 「ムッ君はケーキ投げないの?」 「もったいないから食べる」 「ちょっ! 赤司っち何とかしてよ!」 「さあ、知らないな。みょうじに言ってくれないか」 「みょうじっち!」 「今日くらい、いいでしょ?」 「……!」 さっきとは違う、何も含まれていない純粋な子供のような笑顔に、不覚にもドキリと心臓が音を立てる。 いいのかも、知んないっスね! 俺がそう言えば赤司っちから、とどめと言わんばかりのケーキが俺の顔へと放たれた。 いつまでも (みんなとバカ騒ぎしていたい) Happy birthday 黄瀬! |