青林檎の微熱 | ナノ

今日は久しぶりの休日。折角なので外出することにした。着替えて母親に「ちょっと出かけてくるね」とだけ告げ町へと出た。特に目的地もないのでとりあえず本屋へ向かう。ファッション雑誌を手に取りパラパラと立ち読み。スタイルのいいモデルが可愛い洋服を着てポーズを決めている。ペラ、とページをめくると大きく特集をされていた男性のモデルが目に入った。左耳にピアスをつけた、綺麗な金糸と長い睫毛が特徴的な黄瀬涼太。

(…かっこいい、の、かな?)

千夜にはイマイチどこがいいのか分からず金髪の巨人、という認識になった。同い年でモデルなんて凄いなとは思ったが。
不意に肩を叩かれ振り返ると私服姿の黒子が立っていた。

「こんにちは、偶然ですね」
「う、うん。本当に。…休みなの?」
「?」

しまった、と思ったが遅かった。主語がない。首をかしげる黒子。あ、と声をもらし今日は部活休みなんです、と。
黒子は千夜の読んでいた雑誌を覗き込んだ。そこには大きく載せられているかつてのチームメイト。

「黄瀬くんだって。凄いよねモデルとか」
「蓮見さんも、こういう人の方が良いんですか?」
「え? い、いやまさか。偏見なんだけど、金髪の人ってチャラそうで怖いって言うか…」

千夜の言葉に思わず安堵の溜息をつく黒子。隣でどうしたの? なんて不安そうな顔をする彼女が見える。自分でも何故安心したのかはわからなかったから、「なんでもないです」とごまかした。
それから千夜と黒子はお互い本が好きという共通点を見つけ本屋に長居した。お勧めの本を教えあったり、千夜が意外と漫画に詳しかったり、レジのお兄さんを怖がらなかったりそれに驚いたり。
気付けばお昼になっていて、お腹が鳴りそうになる。意を決した黒子は「あの、」と千夜に声をかける。

「よかったらマジバ、よって行きません?」
「…え?」

千夜を見かけたときから考えていたこと。やっと遂行できそうだ。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -