次に向かうは雑貨店。アンティーク調の置物や可愛いストラップ、レースの装飾が施された雑貨などなど。いかにも女子の好きそうなものが所狭しと並んでいる。千夜もそういう店に来ると少なからず浮かれ、見ているだけでも飽きない。 フラフラと店内を回っていると動物のぬいぐるみが目に留まった。黒子は大きい虎のぬいぐるみを手に取り火神にそっくりだと千夜に見せる。 「ほんとだ、火神君ってなんか虎っぽいね」 くすくす。子供のように笑う千夜につい見入ってしまう。はっとして視線をぬいぐるみに戻す。照れ隠しにぎゅう、ときつく抱きしめた。 あ、と千夜は人前で笑っていたことが恥ずかしくなり若干頬を染め顔を逸らす。そこで見つけた鍵モチーフのストラップ。どストライク。すぐに値段を確認し、善良的な価格だったので購入を決める。 その後も店内を回り、店を出る頃にはすっかり夕暮れとなっており、黒子が家まで送ると言い出した。断り切れずに二人並んで蓮見家へと歩き出す。彼が言うには「最近は色々物騒ですから」だそうだ。送るといっても千夜の家はそう遠くではなくすぐに着くだろう。 帰り道は二人とも無言で千夜は自分の買い物に付き合わせてしまって、折角の休日を潰してしまったのではないかと内心ハラハラ。黒子は普段なら入らないような店に行ったが、中々有意義な一日だったと満足げ。 歩いているうちに、いつの間にか家の前に着き玄関前で別れ今日ずっと思っていたことを本人に伝える。 「黒子、君。今日はごめんね、折角の休みなのに、わたしなんかと。退屈だったでしょ」 「いえ、僕も楽しかったですから。じゃあまた明日、学校で」 「あ、うん」 遠ざかっていく黒子の背中を見ながら千夜は思った。黒子のおかげで、黒子にはだいぶ慣れることが出来た気がする。そんな彼にお礼も「ばいばい」も言えていない。このままでいいのか。いや、いいわけない。(反語) 慌てて彼の名を呼ぶと足を止め振り返った。 「ばいばい、また明日」 空いている左手を小さく振りながらそれだけ言うと黒子は会釈してまた足を進めていった |