「……おい」
「………」
「おい、」
「………」
「おい! ミコト!」
「んぁ!? ごめん、寝てた、なに?」
「口の端に何かついてる。間抜け面を晒してよくまあ眠れるものだ」
「うそ、やだ、恥ずかし! お昼使ったデスソースだこれ…って言うかさっき名前呼んでくれた?」
「気のせいだろう」
「そうだ! ソニック君聞いてよ、わたし昨日脱走した受刑者捕まえたんだ。どうだ、驚いたか!」
「(それでその足の怪我か。俺なら容易くこなせる仕事を)」
「褒めてくれてもいいんだよ」
「よくやった」
「いっそ清々しいほどの棒読みをありがとう」
ピピピピピ…
「あ、ごめん、電話だ」
「ソニック君、ちょっと急ぎの用事で来ちゃった。行ってくるね。わたしとお喋りできなくて寂しくて泣いてもいいんだよ」
「ほざけ」
「ふふっ、じゃあ行ってきまーす」
「もう帰ってこなくていぞ」
「またまた、憎まれ口を。ふふん、戻ってきたらわたしの勇士を耳にタコができるほど話してやろう」
「で、どこに行くんだ」
「…怪人が、出たんだって」
「なんだと。待て、行ってどうする。お前に何ができる。女のお前に、なにができるんだ」
止められなかった金曜日