ついったログ | ナノ
赤葦君がまだ幼い頃、父に連れられ遠方に出向いたことがある。そこで出会った年上の女の子。親同士の話があるからと放り出され、二人きりで遊びました。なんてことない、ただのままごと。女の子が奥さんで赤葦君が旦那さん。仮想的な二人の暮らし。とっても幸せでした。


おとなになったらおよめさんになってね。明るい女の子。可愛い。好き。結婚。子供ながらの短絡的な考え。けど彼は信じて疑いませんでした。将来この人が自分の妻となることを。指切りしたんだから。そんなこんなで赤葦君17歳。もうすぐ結婚できるけどまずお付き合いから


届いたのは結婚式の招待状。家族揃って彼女の式に出向きました。久しぶりに見た彼女は大層美しくなっていました。過去の記憶は美化されると言うけれど、あの人は変わらずずっと美しい。ねぇねぇもしかして俺との約束忘れちゃったの?俺はあなたと一緒になろうと思ったのに


「あ、京治君来てくれたんだ! わたしのこと覚えててくれたの。わぁ、大きくなったねー。何年ぶり?」

彼女はまるで俺との約束なんか忘れたように、嬉しそうに微笑んで、隣の見知らぬ男と幸せになろうとしている。忘れるわけ、ないだろう。忘れてしまったのはあなたの方だ


ね、そんなドレス似合っていません。白は似合っていません。あなたには赤がよくお似合いだ。俺の名字の赤。ほら、とっても似合う。白いドレスを真っ赤に染めて、胸元から広がる赤が美しくて、彼女を幸せにするのはお前じゃない。この俺です。指輪をはめるのもこの俺です


「おとなになったらおよめさんになってね」
「うん、いいよ」

あなたが俺にくれた言葉、一言一句覚えています。あなたと交わした小さな約束、全て覚えています。あなたは忘れてしまったのだろうけれど。
でも



ほうら、これで俺のもの。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -