わたしたち捜索班はそれぞれ分かれて探すことになった。屋敷に忍び込む前フェイタンに言われたことを思い出す。 「目当てのものが見つかたらワタシのとこ、来るよ」 「え、何で?」 「なんでも。分かたか」 何を言っても拒否権はないのだろう。わたしは黙って彼に従うことにした。 二人と別れわたしは一番奥から探そうと長い廊下に出る。高い天井にシャンデリア、廊下のいたる所には装飾が施されていていかにもな金持ちの家だった。 廊下の突当りにあるドアノブに手をかけた瞬間、空気が振動した。ドーン、ドドドドとフランクリンのものと思われる銃声がもう聞こえてきた。 ドアノブに力を入れて扉を開くと、部屋も広かった。手を離すと扉は自身の重みで勝手に閉じた。開放感のある部屋で窓が大きい。壁にはガラスのショーケースが所狭しと並べられていた。近付いてよく見てみると、収拾したものだろうか色大きさが様々な宝石やアクセサリーが並んでいる。一つ一つじっくり見て行ったが、目的のものは無かった。 次の部屋に行こう。 そう思い踵を返した時、チクリと刺すような殺気。それをほぼ同時にひゅ…ん、と何かが目の前を横切った。いや正しくはその何かを反射的に避けたんだ。壁に刺さったそれを見やると金色の丸い鋲が三本。すぐに飛んできた方を振り返ると背の高い、黒髪の能面。暗殺一家の長男、イルミ=ゾルディックが鋲を構えて立っていた。 「やあ」 「なん、で」 なんであんたが此処にいる。それよりも! こいつ、今、殺す気で鋲を放った。避けなかったら…そんなこと、言わずもがな死んでいた。 「仕事だよ。襲ってきた盗賊皆殺してだって。だから、」 言い切る前にイルミは地面を蹴った。一瞬にしてわたしの懐に入り込み右手の指の間に挟んだ鋲を刺そうとしてくる。それを後ろに飛び躱す。着地をする間もなく回し蹴りをくらい壁に叩きつけられた。呼吸が止まり、咳き込むように空気を吐き出す。口の中、切ったかもしれない。 「ぐっ……は、ぁ」 強打した背中が痛む。ギシギシと全身が軋んだ。パラパラと崩れる壁を背に立ち上がり、服についた埃を払う。伊達に幻影旅団やってないよ、わたしだって。この程度で殺されてたまるか。 イルミの投げた、壁に深々と刺さった鋲に指先に念を込めてそっと触れる。周を使い威力を増して、抜き取り投げ返す。追撃するようにしたから的に当たるまで絶対に止まらない。イルミに刺さるまで止まらないが、いかんせん数が少ない。先ほどの三本しかないために避けることなど彼には容易いだろう。 早く宝石見つけて、たっぷり観賞したいのに。まずはイルミを何とかしないと。 早くしないと、フェイタンに何を言われるか…。 |