あの子がほしい | ナノ

フェイタンとの飛行船の旅を終え、約半日かけて目的地へ到着。集合場所はアトリー家の屋敷が見える丘の上、と。うん、どこだろう。彼に何とかしてと視線を送ると、場所は分かっているようでスタスタと歩き出していた。

「置いてくよ」

そう言われて、慌てて小さくなっていく彼の背中を追いかけた。丘を目指し並んで歩くと。屋敷は街の外れの森の中にあるらしく、辺りはすっかり木と草ばかりになっている。更に歩くと開けたところに出て、遠方に大小いくつかの人影が見えた。一つの影が手を振っている。シャルナークだ。他にもフランクリン、マチがいた。
「お待たせー」と皆のもとへ駆け寄ると、木に寄り掛かっていたマチが体を起こして片手を上げた。

「アンタたち一緒に来たのかい」
「悪いか」

彼女の問いにフェイタンは短く返し、獲物であるアトリー家を見下ろした。古風な洋館を思わせる作りで、大きな庭には薔薇だろうか、白や赤い花が見える。金持ちって言うからもっと近代的な建物を想像していたから、ちょっと拍子抜け、というか予想外というか。
これからあの屋敷に乗り込み、必要ならば戦闘もするだろう。そうしたら少なからずあの屋敷は壊れてしまう。もったいない。そう思うほど綺麗な屋敷だった。

「アリシア、聞いてる?」

シャルナークの問いかけにハッとして頭を切り替える。どうやら作戦を説明していたようだが、わたしは屋敷に目を奪われて全く聞いていなかった。

「ごめん、もう一回お願い」
「もー、ちゃんと聞いといてよ」

今度は聞き逃さないようしっかしと頭に叩き込む。
フランクリンとフェイタンは主に戦闘。わたしとシャルナークとマチで宝石を捜索。だが、誰かが宝石を持ち歩いていたら割れてしまうので戦闘は必要に応じて。
じゃあ、それぞれ自分の仕事をしっかりね。行こうか。
シャルナークの声を合図に屋敷に向かって走り出した。

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