あの子がほしい | ナノ

シャルナークからのメールに、気が付かないフリをしたけどフェイタンが小さく舌打ちをしていた。何故だろう、君たちわりと仲良いんじゃなかったのか。そんな疑問もほどほどに、メールを開いてみると仕事のお誘いだった。
ニュース見た? アトリー家の宝石盗りに行くけど一緒にどう? 因みに、宝石を守るために能力者を雇ったっぽいよ。
ああ、さっきのニュースか。フェイタンのメールも同じ内容だったらしく、もう携帯をしまっていた。

「どうする? 行く?」
「暇潰しにはなりそうね」
「ん、行くって返信しとく」

わたしとフェイタンも参加する旨をメールに書き込み、送信。携帯をしまって食べかけのトーストに手を伸ばし、かじる。さく、と音が鳴った。そういえば、さっきから食べているのはわたしばかり、彼は全く朝食に手をつけていない。コーヒーを飲んでいるだけだ。寝起きで朝食いうのも無理な話だろうけど。わたしはトーストを完食しお皿を片す。
フェイタンの分はわたしの昼食になるだろうと考えながら洗い物を始めるとまた、今度はわたしの携帯だけが鳴った。シャルナークからで、あっという間に作戦がまとまり明日、白昼堂々攻め込むらしい。
メールの内容をフェイタンにも伝えると、彼はマスクの下で小さく笑った。気がした。

「飛行船で行くか? 今から出ないと間に合わないね」
「そうだね。あ、他に誰が行くのかも聞いとけばよかった」
「どうでもいいね」

そうと決まればさっそく支度を整える。と言っても何をするわけでもなく、目的地までの飛行船に忍び込むだけ。二人で留守にするのだから言っても意味ないが、なんとなく。

「いってきます」
「お前、誰に言てるか」
「えへ、つい」
「気持ち悪いね」

……む。
玄関の扉を開け外に出る。家の鍵をしっかり閉めてポケットに入れた。
能力者もいるんだっけ。楽しめるといいなあ。

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