現在時刻13:30―――



約束通り風丸は吹雪の部屋に訪れた。
ノックをするとどうぞー、という返事。


許可を得て扉を開けると、そこにはシャワーでも浴びて来たのか、濡れた髪をタオルで拭いている吹雪がいた。

いつもと違う雰囲気に思わず見とれた。


「風丸君?」

「あ、すまない…邪魔するぞ」

「はーい、僕の部屋へようこそ」

どうぞ座って、と促され椅子に座る。

それから風丸と吹雪は、新しい連携技について話し合った。






大体イメージや蹴るタイミングが決まり、あとは実際にやってみるだけとなった。

いつの間にか日は落ちていて、もう少し待てば夕食の時間になるだろう。


「じゃあ後は実践するだけだな」

「そうだね
協力してくれてありがとう」


んーっ、と伸びをすると吹雪は立ち上がり、ゴロンとベットに寝転がる。

「夕食の時間まで一緒に待つ?」

「そうさせて貰おうかな」


風丸もベットの側に移動し、仰向けに寝転がる吹雪の頭を撫でる。撫でられるのを気持ち良さそうに享受する吹雪。
その姿はとても愛らしい。


「僕…風丸君に頭撫でて貰うの好きだなぁ」


その言葉に思考が停止する。
これは、少し期待してもいいのだろうか。


「…俺の事は?」


普段より低い声で話すと、それまでフニャフニャと微笑んでいた顔が一瞬で赤く染まる。

脈ありと取っていいのか。
都合良く解釈してしまう。


「風丸君も好き、だよ」


目を合わせずに、小さく呟かれる。


「吹雪…俺は恋愛対象としてお前が好きなんだ
俺の"好き"とお前の"好き"は違うんじゃないか?」

「そんなことない!
僕だってずっと前から風丸君が好きなんだよ」

「…っ吹雪!」


大きな声で大胆な告白をした吹雪に、風丸は嬉しさのあまり抱きつく。


「本当、なのか?」

「うん…風丸君こそ、嘘じゃないよね?」

「嘘じゃないさ
なぁ吹雪、キスしていいか?」

「ふふっ、どうぞ」

ベットの上に乗ると、風丸は吹雪に優しく口付けた。


「ん…っふ、ぁ…」

「可愛いな吹雪は…」

「ふ…あ、かぜまる、くん…」

最初は軽く触れるくらいだったが、時間が経つにつれ次第に深く口付け合う。
双方共に気分が高まり、熱っぽい視線を交える。


「服、脱がせていいか?」

「うん、僕も…もっと、欲しい」


色っぽい吹雪の表情に風丸はゴクリと喉を鳴らす。


「吹雪―――」




服を脱がせようとしたその時、風丸の耳に慌ただしい足音が入った。


時計を見るともう夕食の時間から10分程経過していた。

吹雪も風丸の様子に気がつき、ベットから起き上がった。


「どうやらタイムリミットみたいだな…」

「まあ明日は試合があるし、どっちみち最後まではできなかったしね」

「期待してたか?」

「…風丸君の意地悪…」

「すまん、あまりにも吹雪が可愛くてな
…アメリカ戦が終わるまでお預けだな」

「うん、まずは明日の試合で僕たちの新しい技を決めようね!」

「ああ、その後吹雪をじっくりと頂くよ」

「風丸君…ッ!」


そんなやり取りをした後、夕食だぞ!とやって来た円堂と共に2人は食堂へと向かった。