数十分後、風丸と吹雪の2人は目的のビルへと着いた。

この3階建てのビルには地下があり、リーダーはそこでバーを経営している。
普段だったら今の時間、リーダーはバーの方へ準備に回っている筈である。

「地下じゃないの?」

「新しいやつと3階にいるって、メール来た」

そう、と納得したように吹雪が呟く。
ちらっと風丸を見ると、慣れた手つきでパスワードを入れて入り口を開けていた。

「行くぞ」

置いてかないでよ!と嘆く吹雪に、風丸はぼーっとしてる吹雪が悪い、と答える。

「(依頼をこなしている時は、今とは考えられないくらいに俊敏なのにな)」

思わず出掛かった言葉を飲み込んで、目的の部屋の扉を開ける。

「リーダー、来たぞー」

挨拶してみるが、反応がない。

「いつもだったら出迎えてくれるのにね」

少し驚きつつも、吹雪は探してみようか、と部屋へ上がる

この3階は半分が部屋、もう半分が庭みたいになっている。
この今いる部屋は食事する時によく使い、庭では日光浴をしたりしている。
(リーダー曰わく、夜に活動する事が多い自分達は、健康の為にも日の光を浴びた方がいいらしい)

とりあえずキッチンにでもいるのかも、と風丸は部屋に入ろうとすると、

「風丸君!」

吹雪が風丸を呼んだ。
どうした、と近づくといたよ、と庭のテーブルへと視線を向けた。
風丸もそちらへと目を向ける

そこには、金髪のストレートの髪を後ろで括り、優雅にティータイムの準備をしている人物―――探していたリーダーがいた。

「よくこんな場所から見つけたな」

風丸は改めて、仕事中にも発揮させる吹雪の直感力に関心した。


「アフロディ君」

アフロディと呼ばれた青年は吹雪の声に手を止める。

「やぁ吹雪君、風丸君
早速来てくれたんだね」

アフロディと呼ばれたこの美しい青年こそ、今日風丸と吹雪を呼んだリーダーである。

「まぁ、早く顔合わせしておきたいしな」

「どんな人なの?」

どうやら吹雪は、新しい仲間が気になって仕方ないらしい。

「ふふっ、楽しみなようだね
彼ならそろそろ…」

来たみたいだ、と言うのと同時に薔薇のアーチの奥から、少しのハーブを抱えた青年が出てきた。

「あっ」

一瞬驚いた様子を見せた青年は、すぐに爽やかな笑顔になり

「こんにちは
新しく入った基山ヒロトです」

よろしくね、と赤い髪をした頭を少し傾けた。