第六話 「…んなわけねぇだろう。 お前、平助よりガキだろう?嘘つくんじゃねぇ。」 まぁ予想通りというかなんというか。 前の世界でも中々信じてもらえなかったしなぁ。 此処じゃ医師免許見せたって意味ないだろうし… どうしようかと悩んでいた時、沖田が予想外のことを言った。 「僕は信じますよ。」 「え、総司マジで言ってんの?」 「うん。だって僕、この子気に入ったし。」 気に入られるようなことしたっけ。 …もしかして、さっきのあれ? あー今まで経験してないことや人に興味持ちそうだしな。 「それでは理由になっていない。」 「斉藤の言うとおりだぜ。 それに、医者っつたら若くても近藤さんくらいの歳じゃね?」 「近藤さん、どうする?」 「…しばらく君には医療班として活動してもらう。 そこで君が本当に医者か判断し、今後の対応を決めたいと思うが…どうだ?」 医療班にいる期間にそれなりの実績を残せない場合、多分私は殺される。 きっと、誰でもできるような応急手当程度ならば認めてはもらえないだろう。 期間中にそんな重病人がくるとは限らない。 医者である私が重病人がくるよう祈るなんて皮肉だが… 今私には、この道しか残されていないのだからしょうがない。 「分かりました。」 「うむ、みんなもそれでいいだろうか。」 この場にいる人たちも異論はないみたいで、頷いてくれた。 とりあえず私の命は伸びたみたいで。 …あれ、私殺されて当然の思考になっちゃってるや。 あの後私は部屋に戻されて、今は雪村が話している。 まぁ、原作どうりになるんだろうなぁ。 しばらくしてスッと戸が開き、斎藤が入ってきた。 「副長が呼んでいる。」 連れられた部屋はさっきまでいた部屋。 幹部の中に、先ほどとは違い余裕が顔に現れている女の子が1人。 あの様子では、原作通り保護してもらえるようになったのだろう。 ドヤ顔は無視し、彼女の隣に座る。 「お前たちは新撰組預かりとして保護することになった。」 横でえっ…という声が聞こえた。 保護されるのは自分だけだとでも思っていたのだろうか。 「新撰組に女がいると面倒なことになるから男装をしてもらう。1人1部屋くれてやるから雪村は部屋で大人しくしとけ。」 「あの…彼女はどうなるんですか?」 自分だけ指示が出されたため不思議に思ったのだろう。雪村は己の立場も知らず土方に問いかけた。 「こいつは医者らしいから医療班に入ってもらう。基本医務室にいるから部屋にいる時間は少ないだろう。」 「じ、じゃあ私も…っ」 「あー無理無理。刺し傷とか結構大変な怪我が多いから、君じゃ無理だよ。」 「私だって父様に」 「いいからお前は部屋にいやがれ。いいな。」 土方に睨みながら言われると反論できずに黙り、私を睨む雪村。 逆恨みですよー まぁでもよかった。これでもし雪村と一緒に、ってことになったらやりにくいったらありゃしない。 「総司、雪村を部屋へ連れてけ。平助はこいつに服を貸してやってくれ。」 「分かった!」 「僕もこの子の案内がしたかったなぁ。」 沖田がそう言ったとたん、より強く睨まれた。 だから逆恨みだって。 |