小説 | ナノ



 第一話


Q.あなたは医者ときいて、どんなイメージをもちますか?



























A.激務で自分を犠牲にすることが当たり前の、報われない職業


























2012年1月1日

世間はお正月で盛り上がっている中、そんな言葉とは関係ない場所があった。




「先生!患者さん来ました!!」

「分かった、バイタルは!?」




甲高い電子音が聞こえる中、人の泣き声や足音がやまない。
その時の判断次第で英雄にも、殺人者にもなれる場所。

それが此処、某総合病院高次救命災害治療センター。

務めたら最後。
勤務時間外の勤務も強いられる。


でも、別にかまわない。

此処が私の居場所だから。










「ーふぅ…」

手術も終わり、やっと休憩。

家には何日帰ってないだろう?
もう1週間帰っていないかもしれない。
こんな時つくづく思う。この病院にシャワー室があってよかった。

軽くシャワーを浴びて寝間着に着替え、化粧水をつける。
医局に泊まることが多くなり大量の着替えやトライアルセットを持ち運ぶようになった。もちろんこの寝間着もだ。普段は洋服だが、寝るときはこの綿でできた着物じゃないと変な感じがする。
美容液もつけ髪を乾かし、仮眠室のベットへダイブ。
目を閉じると何かを考える暇もなく意識はなくなっていった。






























鳥の鳴き声が聞こえ、風が吹く。

あれ、寝る前にクーラー冷房にしたっけ。
少し肌寒さを感じながら目を開ける。




「……何これ。」




横には長期旅行用のキャリーケース、後ろには太くて大きな木。
いつの間にか外に出ていたらしい。
夢遊病?
嫌だな…
じゃなくて、それ以前に周りの人の服装が全然違う。
いくら三が日とはいえ、こんなに着物を着る人が多いはずがない。




「…あ、ちょっと君、今何年か教えてもらえるかな?」

「え、文久3年だけど?」



通すがった男の子にお礼を言い、歩き出す。

文久3年、西暦でいうと1863年。
もしかしなくても私、149年前の日本にきてしまったようです。












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寝間着/ここでは寝るときに着る着物のことです。



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