第十九話 「みなさん、お待たせしました!」 「…」 「(ごめんっだから睨むのやめてくれ!!)」 戸を開けて元気よく部屋に入る雪村と対照的に、振り向くと一斉に眉間に皺を寄せた男性陣。少女の後ろで手を合わせて頭を下げている少年。 湯気を出しているご飯の前で、異様な光景だ。 「私を待っててくださったんですね!さぁ、食べましょう!」 「…あいつはまだか。」 にこにこ笑っている雪村の言葉に耳も傾けない。 しかし機嫌がいいためかそのことに気付かず座布団に座ろうとする雪村。 「待て。お前はそこではない。」 「え…私、ここでいいんですけど…」 雪村が座ろうとしているのは沖田と斉藤の間。 「ここは特定席なんだ。やっと今日順番が回ってきたんだよ。 それを君は邪魔する気?」 「総司…しかし、総司の言っていることは正しい。早くそこを退け。」 「…はい。」 しぶしぶ雪村が退き指定された座布団に座ると、それと同時に戸が開いた。 「遅れてすみません…最後の一品、持ってきました。」 「雅ちゃん!それも美味しそうだね。」 「ほら、さっさと食おうぜ!」 盆に乗せていた小鉢を配り終えると、沖田と斉藤の間に座る香崎。 その姿を見て目を見開いた後、不機嫌そうに眉を潜め着物を握りしめる雪村。 その姿に誰も目を止めず食事は進められる。 広間から賑やかな声が響いた。 その声を聞いた平隊士達が、微笑ましそうに笑っていたりしてなかったり。 |