小説 | ナノ



 第十八話




「あのっ」

「…どーした?」








藤堂平助は困っていた。

すごく困っていた。
それは、彼の目の前にいる少女のせいだ。







「毎回ここに運んでいただくのも申し訳ないし、私がみなさんの食べているところへ行くよ!」

「いや…いいよ、別に。」

「そんな遠慮しないで?ね?」

「だから…」








もう一度言う。
彼はすごくすごく困っていた。

可愛いと思いやっているのであろう。
彼女は上目使いで首を傾げている。
その姿を見て彼は面倒だとでも言うように頭をかきながら口を開いた。








「…あーもう分かったよ!
 じゃあ今日の夕餉は広間で食えば?それでいいだろ!」

「うん、平助くんがそこまでいうなら!」

「……じゃ、後で迎えに来るよ。」



















そして時は過ぎ、再び彼女の部屋の戸が開けられた。




「そろそろ夕餉の時間なんだけど…」

「うん、行こう、平助くんっ」

「…あのさ、俺お前より年上だから敬語使ってくんね?」





後苗字で呼んでほしい。

そう言うとあからさまに眉間に眉をよせる雪村。







「でも、歳が近いし…」

「一応幹部だからさ、俺。」

「…分か…りました。」








よっしゃ、と、雪村に背を向けガッツポーズをする藤堂。
しかし雪村はそれに気づかずにただ不満そうな顔をしている。













「(…なんで)」





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