小説 | ナノ



 第十話




【千鶴side】






なんでなんでなんでっ!!


確かにあの人には助けてもらった。
でも、どうしてなの!?
私だって父様の姿をみて育って、いろいろと教えてもらったのに。
あの人とだって歳も変わらない!
それなのになんでこんなに違うの!?
私は三日間ずっとこの部屋にいるのに、あの人は外へも出かけてた!
部屋に閉じこもってて食事だってこの部屋。
ずっと一人だったのに、なんで!!

思わず唇を噛んだ。
血の味がして、思わず顔をしかめる。




「大丈夫?」




ふと、頭上で声がした。




「は、はいっ…すみません、いろいろあったもので…」




沖田さんだった。

初めて会ったときは怖かったけど、この前、ここまで優しく連れてきてくれた。
今だってわざわざ私の部屋に来てくれている。




「暇だと思うけどさ、大人しくしててよ?」

「はい…あ、あのっ私にできることがあったら言ってください!」

「……うん、わかったよ。」

「私、お料理とかお掃除とか、得意なんです。
 父様にも、いつも褒めてもらっていて…」

「へぇ、すごいね。」

「はい!なので、遠慮なくどうぞ!」

「何かあったらお願いするね。それじゃあ僕はこれで。」




そう言って部屋を出ていく沖田さん。
優しいなぁ…
立場上あまり優しくしてくれないけど、他の人もそうなんだろうな。
沖田さんみたいに、部屋に来てくれないかな。
きっと来てくれるよね。
その時に話して仲良くなろうっと。




























「ふぅ…
 あの子、面倒くさいな。」





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