人魚と人間の恋
(♀夢/英雄学/爆豪勝己/notヒーロー志望/パラレル/メモ帳とツイッターから転載)
notヒーロー志望で人魚姫。別案
勝己:人間
not:人魚
あんまり重くない話。ハッピーエンド。
最後ちょっと性的表現あるので注意。
主の名前表記:◎
―――
◎は深海に棲む人魚。好奇心が旺盛で子供の頃から水面にも近寄り海の外を眺めたりする。そうしているうちに勝己と出会う。秘密の幼馴染。
人魚は体温が低いので人間の体温をかなり高く感じて触ることができない。触ると火傷する。逆に人魚の肌は冷たい。お互いに触ることができない。
勝己は◎を秘密基地的な感じに思ってて、大人にも友達にも知られないように密かに会う感じ。いつも決まった場所で会う。◎は海から出られないので、勝己が来てくれるのを待っている。
童話の人魚姫の話をする。
勝己が「人間になれねえのかよ」とか話して、その流れでいいと思う。
「その話、私も聞いたことがあるわ。人魚が王子様に恋して人間になって、だけど成就しなくて最後には泡になるのよね」
「なんで知ってんだよ。人間の作り話だろ」
「私のところにも同じ話が伝わってるわ。作り話なの?」
「そうだろが。実話なら人魚が人間助けた時点で変だろ。触れねえのにどうやって助けんだよ。お前どんだけおめでたい頭してんだ」
「そっか。そういえばそうね」
「人魚を捨ててまで人になるなんて、恋って熱烈ね」
「鬱陶しいだけだろ」
「勝己、恋したことあるの?」
「ねーよ」
「私も」
思春期の頃、人魚の目撃証言等が広まり捕獲の噂が流れる。流行っていない見世物小屋の子供がたまたま見つけたのを小屋のために捕らえようとするか、私欲に塗れた欲深い権力者が捕まえたものに御礼金を出すとかそんな感じ。
人魚とは◎のことかもしれないと、情報を集める勝己。
「人魚なんざ捕まえてどうすんだよ」
「水槽に活けて見世物にするか、食うんじゃね?だって食ったら不老不死になんだろ?」
みんな好奇心と欲で人魚が捕まることを期待している。町に味方はいない。◎が捕まらないためにどうしたらいいか考える勝己。
「もう上がってくんな」
「…どうして?」
「てめぇの肉、食ったら不老不死になんだろ」
「そういう話もあるみたいね。でも食べて死んだ人間もいるって聞いたことあるわ」
「俺はンな話聞いたことねえ」
「俺ぁダチ食うなんざ胸糞悪ぃことしたかねえがよ、不老不死になれることと天秤にかけたら、てめぇを食うのも悪くねえと思ってる。
何べんも考えた。だがもう考えんのもめんどくせえ。俺は次てめぇのツラ見たらこの手で触って肉削ぎ落として食う。嫌ならもう上がってくんな。俺はもうてめぇをダチだと思ってねえ」
「…」
海に潜る◎
「…」勝己
一人になった後、口の中で◎と呟く。親友を失い泣く。
◎が水面まで上がってこなくなってからしばらくして人魚捕獲の話は聞かなくなったが、もう◎に会えないことに喪失感を抱く勝己。元気がない。
◎は海の中で童話の起源を辿り、人間になる方法を探していた。長い髪を代償に人間になるための薬を得て人間になって浜に行く。誰かに助けてもらって服もらったり勝己を探してもらったりして会いに行く。
◎を助けるのは教師陣の誰かか、八百万、梅雨ちゃん、飯田あたりがいい。
勝己と会う。
「来ちゃった。わかる?私」髪が短くなったから
「き…?は?おめ、なん」
「ふふ、すごい驚きよう」
悪戯が成功したみたいな笑顔。
混乱しながらも言葉を探す勝己。
「上がってくんなっつったろ…」
「この姿見てもそう言う?」
人間の姿だとくるりと回って見せるが、足に慣れなくてもつれてよろける。咄嗟に支える勝己。肌に触れたのに熱がらない◎。
「二本足、まだ慣れないわ」
「人魚、捨てたんかお前」
「だって私、勝己が好きだもの」
―――『人魚を捨ててまで人になるなんて、恋って熱烈ね』
昔◎が言ったその台詞を思い出す。
「勝己の手って、人になって触っても温かいのね」
支えていた姿勢からそのまま抱きしめる。言葉が出ない。
「私、ずっと勝己に会いたかったのよ」
「ちょっと黙れや」
泣きそうになってるのを我慢してる。
―――
「てめぇ、これからどうすんだよ。住む場所とかよ」
「ああ、考えてなかったわ。地上は勝手がわからないし」
飯田んちとかで住み込みで働いたりしてほしい。
―――
◎の言う「勝己が好き」は、友情でも恋でもどっちでもいい。でも最初は友情で、勝己が◎に恋心持って接してるうちに「恋だったかも」と考え直すのもいい。
◎が人魚を捨てられたのは、勝己の話を信じて身の危険を感じ取りつつも「人魚じゃなくなれば勝己は私を食べないし、また一緒に遊べる」って思ったから。きっと遠くからなら見つめることができたけど、友達として勝己が好きだったから一緒にいたくて人魚を捨てる決意ができた。
それを全部「だって私、勝己が好きだもの」に詰めてる。勝己は友達だからこそ捕獲されないように突き放したんだけど、◎のそのセリフで昔の言葉を思い出して、◎が自分に恋してたと思う。本当は違うけど。それが勝己の中で友情が恋に変わりはじめたきっかけ。
人間になる薬を◎に与えるのが生物なら、◎は代償をすごく値切ったと思う。
「お前の声を貰うよ」
「ダメよ。話せなくなるもの」
「なら、地を踏みしめるたびにナイフで刺されるような痛みを味わうよ」
「嫌よ。せっかく地上に上がっても苦痛ばっかりじゃ楽しくないわ」
「わがままな子だねぇ」
恋愛だと己を見失って何が代償でも構わないってなりそう。(依存に近くなって己を失う可能性がある)
友達なら、自分の自由を確保して、対等に会いに行ける。
(案)
とりあえず勝己は自分の恋愛感情を自覚した時点で両思いだと思っているので、告白などすっ飛ばして好きって思った時にキスとかしちゃう気がする。◎は別に照れも拒否もせず深く意味も考えないけど、後々それが恋情の伴う愛情表現と知った後に、自分が抱いてる感情も恋愛だったかもって意識変えてく。
◎が普通に受け入れてるから、勝己は自分だけがそういう意味で好きだったって気付かないまま恋人になりそう。
でも人伝に◎が勝己を友達認識してるって聞いて「は!?」って思ってたら可愛いのでそんな話もあったら美味しい。
それに対して勝己がキレると、負け(自分だけが◎を好き)ってことを認めるから、友達認識エピソードがあるとしたらこんな感じ。
↓
勝己と◎がキスしているのを見た仕事仲間(飯田家の使用人)が恋バナで盛り上がる。◎ははじめ「友達よ」と否定していたけど、人魚姫の行動をなぞっている自分に「あれ、もしかしてそうだったの?私」と思って、少しずつ勝己のことを意識していって恋を育ませる。
元々友情と恋が同居してる感じだった。
人間になる時、意識は友情だけど感情は恋だった的な。
◎が「もしかして」って思う前の友達認識の発現を上鳴あたりが聞いて、勝己に伝えて「は?」って鳩が豆鉄砲くらったみたいな心境になる。
(ダチ…?キスしたろ。嫌がってなかったろうが、あいつ…)
もんもんとして、上鳴が言っていたこと半信半疑のままいつもと同じように◎と接して、確かめるようにまたキスしたりする。
その時◎はもう「もしかして」って思った後で、少しだけ勝己に対する意識が変わっている。
勝己がキスするのは、そういう感情だからなのかとか考える。
「ねえ、勝己」
「あ?」
「友達にはキスしないわよね」
「…するわけねえだろ」
「そうよね」
◎のその発言で、「上鳴が言ってたことマジだったんかよ」と思う勝己。
でもそれを訊いてくるってことは100%友情じゃねえだろと思って何も追求せずいつも通り接してる。自分だけ好きになってるの負けた気がするから、「ぜってぇその気にさせたる」って思って突然過剰じゃない程度に触れたりしていって、本当にその気にさせていく。
恋人になった後。
人魚の頃の認識ではセッは子孫を作るための交尾としか考えてなかったので、人間のセッが子孫を残す目的以外でも行われることに戸惑う。性的な熱を持つ体に「私、病気かもしれない。熱い」って言って行為を止めようとしたり、声が出てしまうがそれに意識を向ける余裕がなくて感じるまま声が出てしまったり、それを抑えるために勝己が「うるせえ。聞こえんだろ」って言って口の中に指入れながら進めるのもいい。