仙蔵で主従関係。









(夢/忍卵/立花仙蔵/♀のつもりで書いたけど♂でもイケる/パソ子ネタより転載)





いつからだっただろう。
私と仙蔵様は昔は兄弟のように仲が良かった。

立花の敷地内にある使用人用の長屋に私は生まれ住んでいた。立花家のお子は仙蔵様だけで、使用人の子は私だけだったから、周囲にいる同年代がお互いだけだった。当然のように、私達はほとんど毎日一緒に遊んでいた。

だけど、忍術学園に入学する少し前、仙蔵様の稽古事が多く遊ぶ時間が少なくなってきた頃。立花のお屋敷にお仕えしている父から「仙蔵様とは立場をわきまえた距離で接しなさい」と言われた。

今まで普通に一緒に遊んでいたのに、なぜ今頃そんなことを言われなければならないのだろう、とか、私は思っていた。
だけど母からも父と似たようなことを言われ、私は二人の話を洗脳されるように聞いていた。そして、彼と今までどういう距離を取っていたのか、どこまで心を許していたのか、どこまで近づいていいのか、何を話していいのか、どんな顔をしていればいいのか………私と彼の間にあったものが、私と彼の間にあったものを知らない人たちによって全部わからなくなってしまった。


以来、せんぞう、と親しげに呼んでいたのも『仙蔵様』と仰々しいものに変わってしまった。


(入学以降の思考)
(なんやかんやあったんだろう)


あの時、口付けを交わしていたら、こんなもやもやはなかったのだろうか。




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