あれから、また普通の日々が始まった。




首筋に残る、白澤がつけた桜色の鬱血の痕だけがまだ消えず
鏡でそれを見るたび背筋に悪寒が走る。

あのまま、

白澤が気を変えずに続けていたら
今頃の私はこんな風に普通ではいられなかっただろう。


それを思うと、また身体が震えた。










白澤に組み敷かれている時、想ったのは鬼灯さまの事ばかりだった。







私の身体に触れる手

私の身体を這う舌

私の身体を覆う熱






すべてが鬼灯さまであったらと。

願わずにはいられなかった。












そして、その時はっきり悟った。


もう誤魔化せない

私はこんなにも鬼灯さまを慕っている。







愛しているのだと。













だから、鬼灯さまが
私を助けに来て下さった事

本当に嬉しかった。



“たかが亡者”の為に。













鬼灯さまを愛していると悟ったという事は

同時に

決して叶わない想いなのだという事も理解しなければならないのだろう。









立場があまりにも違い過ぎる。

気が遠くなるほど。









だから
この想いは深く胸にとどめ秘めるしかない。





それがこれからも鬼灯さまのお側においていただける唯一の道。










ただ近くで



鬼灯さまの姿が見られるだけで




鬼灯さまの声が聞けるだけで







私には贅沢すぎる程の幸福なのだから。




























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