目を覚ますと、こげ茶けた木板の天井が見えた。



ぼやけた視界を振り払うようにゆっくりと瞬きをし、辺りを見渡すと


自分が地獄に堕ちたと言う事を忘れてしまうような

どこか懐かしい、古い家屋の匂いがする小さな部屋にいた。



そして私は、薄いながら清潔感のある布団に丁寧に寝かされてたようだった。





一体誰が、、









『目が覚めましたか。』






その声に驚き、振り向くと


そこには鬼灯さまが立っていた。




その時、私をこのようにしてくれたのが彼だと悟った。




『あ、、ありがとうございます。鬼灯さま、、こんなにしていただいて、、』





私はたどたどしくも、率直に

素直な気持ちで感謝を伝えた。







『いえ。お礼を言われるような事は何もしていませんよ。今はしっかり休んでいただいて構いません。その代わり、心身共に全快した暁にはしっかりと激務をこなして頂きます。休んでいる間の仕事はそのまま貴女の為に残しておきますのでご安心を。』



未だ布団から立ち上がれないでいる私を、腕を組み見下ろす鬼灯さまが冷たい目をして私にそう告げた。


しかし

私はその時、
不謹慎にも そんな鬼灯さまを見て 頭の中で別の事を思っていた。




恐怖と不安の涙で霞んでいた目で見ていた時にははっきりとは気付けていなかった。




改めて思う。

なんと美しい方なのだろう。と





再び心が大きくざわつく。





この方のお側にいられるのならば、どんな苦行にも耐えられる気さえした。






『はい。身を粉にして、、鬼灯さまの元でお勤めします。』



自然に出た言葉だった。

自分が地獄に堕ち、そこに身を置くことを自ら享受した初めての瞬間だった。




『良い子ですね。さぁ、もう少し休みなさい。』






彼から発せられたとは思えない、優しい言葉に、また目頭が熱くなるのを感じた。


『ありがとう、ございます。』


私は布団を深く被り、滲み出る涙を隠した。

生前には一度も感じた事のない感情。
そして、自分に向けられた優しい言葉。

どれも初めての事ばかりで胸が熱くなった。




暗闇の中うずくまりながら
鬼灯さまが部屋から出て行くのを感じ。



私はまた、小さく声をあげ、泣いた。





































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