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逃げ出す道すら崩れ落ちて




右も左も分からない暗い森を走り続けて一体どれくらいの時間が経ったろう。
張り切ったふくらはぎが悲鳴をあげる。早く、少しでも遠くへ逃げなくては。

「あっ……!」

木の根に足元を取られ、そのまま湿った地面に身体を強かに打ち付ける。思わず呻き声が漏れた。

「っ、」

どうやら捻ってしまったらしい。ズキズキと痛む足を庇いながらなんとか立ち上がる。
いたい、いたいいたい。でもはやくいかなくちゃ、そうしないと、また、つかまっちゃう。
勘だけを頼りに再び歩き出したその刹那。

「あぁ、よかった…!見つけた!」

耳に届いたいやに明るい声に、目の前が真っ暗になった。



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