寝正月計画「お正月がやってきます。」
「やってきますね。」
「後数分で今年が終わります。」
「終わりますね。」
「よし寝るぞ。」
「っておいまて流れ的におかしくないか?!」
「ええいうるさい、わたしは眠いんだ。正月が何だ知るかわたしは寝る。さあ今年も寝正月しようぜ!」
「なんで俺コイツの事好きなんだろう…。」
「わたしが魅力的だから。」
「それはない。」
「お前ひどいな…。」
「彼氏がいるのに寝正月計画立ててるお前もひどいよ。」
「否定できない件について。っあ、カウントダウン、はじまった!」
「おお、テンションあがるねー!」
「…三分前からのカウントダウンって、テレビ局何なの、馬鹿なの。」
「…ところで可愛い彼女さん。」
「何かね、いとしい恋人さん。」
「俺、今年最後と来年の一番最初に触れ合っていたい人がいるんだ。」
「それわたしじゃなかったら怒っていいよね。」
「当然お前に決まってんだろ…。」
「ってなわけで、どうするんですか恋人さん。」
「キスします。」
「なぜキス。なぜキス、もっと手を繋ぐとかで良いじゃん。」
「彼氏からの今年最後のお願いでーす。」
新年まで、あと三十秒!
「ほらカウントダウン、始まっちゃったし。」
「…えー…。」
「いいからこっちむけって。」
「うっわ乱暴!って痛い痛い、顔が、顔が引っ張られてる!伸ばす気か馬鹿!」
「じゃあ近寄ってくださいよ。」
「ちっ…。」
「こいつ舌打ちしやがったよ。」
あと十五秒!!
「…ほら、これでいい?」
「よろしい。」
あと十秒ッ!
「なあ。今年一年ありがとう、また来年もそばにいてくれるよな。」
九、八、七っ!
「…当然、じゃん。馬鹿!」
六っ!五っ!四っ!
「「だいすき。」」
三、二、…一ッ!!!
ラスト三秒、唇をくっつけた優しいキスは、何よりもいとしかったです。
HAPPY NEW YEARッ!!!!
テレビから聞こえたその言葉の後も
二人のシルエットはつながったまま
離れようとはしませんでした。
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