なんでもない、ただの二人のはなし。
隣に居ることを。約束するだけのはなし。





隣に居よう、できれば、ずっとがいいな。
うん、隣に居るよ。できるだけ、ずっと。

薬指に赤い糸をつけて、子供みたいに微笑み交わして約束したの。



わたしたちは普通だ。普通ってよくわかんないけど、多分。
別に過去に何かがあったわけじゃない、時々悪口も言うし、腹が立つこともあるし、誰かを好きになることもあれば嫌いになることもある。
依存とかよくわからないし、人並みの同情心と道徳心しかない。
努力するし、なまけもするよ。未来だって不安だし、運命の相手とかいないし。
周りに合わせることもあるし、自分勝手になることもある。
成長過程で、おおよその常識がある、うん、自分は特別だって、無意識に信じてたんだ。
でも、やっぱり、わたしたちは愚かだと。

それはみんなについていくために一過性のものをほめたたえたり、
特に嫌いでもない子の悪口を、みんなが云うからなんて、つられて言ったり、
自分に芯がないことだったり、
毎日を無為に過ごしてたり、
楽しくないことで笑ったり、
特に好きでもない人を好きって言ったりすることだった。
みんながしないから、しない。みんながするからした。ほら、俺達って愚かだ。


でも、ほんとはずっと、どこかで、
こんなの、おかしいなって、思ってたんだ。
本当にそれでいいの?本当にそれが好きなの?本当に?
わたしはね、あくまでもわたしは、それがとても変だなって思ってたんだ。

気づいたんだ、俺らがいかに愚かだってことに。気付いたらさ、馬鹿馬鹿しくなった。
何も気付かないって、しあわせだよ。自分の意志が何処にも無いことに気付くことって、結構空しかったりする。
他の人にすがるのも、みんなに合わせるのも、もう、嫌だったんだ。
そこにいる人たちと、何ら変わりがないことに安心するくせに、自分は特別だと思い込んでいる凡人なんだよ、俺は。
なんだか、愚かだな、って思った。

いままでどおりに過ごしてたけど、気づいてから、少しだけ皆と距離ができた。もちろん、わたし以外は気づいてない。いつも、どおり。
寂しかったよ。どうして誰も疑問に思わないのか、分からなかった。
ねえ、同じ会話の繰り返しの一体何が楽しいの?どうして嫌いなものを笑顔で好きって言えるの?なんで当たり前のような顔して、悪口云った子に仲良くするの?

寂しくて、たまらなかった。
そしたらさ、お前が俺とおんなじ眼をしてたから、安心したんだ。
ああ、俺だけじゃないんだって。嬉しかった。


さみしいなら、そばにいよう。
さみしいから、そばにいよう。

保育園の時にならった言葉を思い出した。寂しがってる子がいたら、そばに居ましょう。寂しいと思ったら、誰かに寄り添ってもらいましょうって。
ね、だから。



「永遠ってよく分からないけど、たぶんずっといっしょにいようか。」

「みんな大切だけど、君はもっと大切。大人になろう?ゆっくりでいいよね。」

「うん、ずっとそばにいてあげる。」

「わたしも、そばにいてあげるね。」



君の暖かいお日様のにおいがだいすきで、おんなじ寂しさを抱えていたから、一緒に生きようと思いました。






ふたりぼっち



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