質問に答えていただきありがとうございます。
ええ、そうです、質問はもう終わりです。
では、診断結果に移らせていただきます。

ねえ、もう気付いていらっしゃるんでしょう?
ねえ。

自分の答えを、もう、ずっと前から。



本能が望んでいるような死への渇望と、微かな怯え。
それを上回るくらいの甘美で深い、永久の眠り。
眠るたび、「このまましんでもいいかな、」とつぶやく深夜。
人間の中で、最大の目標であり、最後の終着点であり、最高の恐怖。

ねえ、それは、わたしがお手伝いしなくても。
分かって、いらっしゃるでしょう?

それはまるで、ぱっ、とひらめいた妙案のような。
何もかもが消滅してしまえがいい、なんて恐ろしい希望と、罪悪感。
「きえたら素敵なのにね、」そんな皮肉な笑顔で愛でも囁くみたいに。
自然にも、宇宙にも関係ない存在を望む、超常現象みたいに優美な思考。

ねえ、本当はもう、ずっとずっと、前から。
知っていたのでしょう?

傷口に雪が凍みるような仄かで確かな痛み。
永遠に吹雪の中に、もうひとりのだれかに置いて行かれた喪失感。
待ち続ける愚かさとふと感じた「寂しいよ。」って。
誰かに思い出してほしいのに、孤独を欲する下らない、愛情。

ねえ、誰が何を言っても、気が付けば。
考えているのでしょう?



答えが知りたいのですか、どうしても?
いいですよ、そのためのわたしですからね。
答えなんて、とっても簡単です。



       「ここから、飛び降りちゃえばいいんですよ。」
 
「ほら、よく風になるなんて言うじゃないですか。」

             「大丈夫、嫌ならいなくなりますし、」

    「背中を、押してあげてもいいですよ。」
       


              
               「ね?とっても簡単でしょう。」




西暦3000年のとある日。
世界中の老若男女××××万人が遺書も残さず、同じ時刻に飛び降り自殺。
原因は不明で、今も明らかにされていない。





   「ねえ、やっぱり、わたしの云った通りでしたよ、神様、」












                 嗚
                 呼

                 だ
                 っ
                 て
                 世
                 界
                 は

                 こ                    
                 ん
                 な
                 に
                 も
                 美
                 し
                 い

 


色彩、



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