「今井、机の中からなんか紙落ちたぞ」

「え、あ…待って、金田一」

「………これって」

「ごめん、なんでもないから。拾ってくれてありがと」

「なんでもなくないだろ。これ、嫌がらせじゃねえか」

「別にちょっと悪口とか書かれてるだけだし、気にしてないから」

「………及川さんのファンだよな」

「さあ。別にどうでもいいよ」

「……………」

「及川さんには言わないでね。変に責任感じられたらめんどくさいから」






「(―――って言ったのになあ)」

「…梓ちゃん」

「変な顔してどうしたんですか、及川さん。早く部活行かなきゃ怒られちゃいますよ」

「梓ちゃん、金田一から聞いたよ」

「………別に、なんでもありませんから」

「なんでもなくないでしょ。他には何もされてない?大丈夫?」

「何もされてないですし気にもしてません。及川さんが気にすることでもないです」

「気にするにきまってるでしょ!俺のせいみたいなもんだし」

「じゃあもう私に話しかけるのやめます?」

「…っ、梓ちゃんにとってはそうした方がいいよね」

「どっちかと言えば及川さんのファンにとってはじゃないですか?」

「………ごめんなさい」

「何がですか」

「やっぱり梓ちゃんのこと諦めるのは無理です」

「……………」

「ごめんね」

「…………何度も言いますけど私は気にしてないですし、バレー部のマネージャーをやめる気もありません」

「……うん」

「そもそもこの程度の嫌がらせ、及川さんの言動に比べたら大したことないです」

「うん…って、え!?」

「ていうかそろそろだんごむしネタも尽きてきたんですけど」

「えっ、えっ!?」

「ほら、早く部活行きますよ」

「あのさっ、梓ちゃん!」

「はい?なんですか?」

「やっぱり心配だし、今日家まで送るから先に帰っちゃだめだよ」

「え、イヤです」

「梓ちゃん!」

「……アイスおごってくれるなら」

「うん、ハーゲンダッツでもなんでも買ってあげる!」

「(とりあえずあとで金田一シメよう)」


20140530


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