「今日の及川、サーブの調子悪かったな」

「ああ、居残ってサーブ練してたけど納得できなかったみてえだし」

「早く調子戻るといいけど」

「じゃないとイジけてめんどくせえからな」

「否定はしないけど試合の心配しろよ」


『梓ちゃーん……』

『なんですか及川さん、いつもよりめんどくさいオーラ出てますけど』

『サーブの調子があがらないんだけど!慰めて!』

『はい?』


「……及川って実はマゾなんじゃねえのってたまに思うわ」

「気持ちわりいこと言うな」

「でも実際、あれだけ冷たくされてよくへこたれないよな。俺なら心折れる」

「叩くなら折れるまでって言うからには、折れるまで叩かれたいんじゃねえの」

「…………それはやだな」


『梓ちゃんが慰めてくれたら元気出ると思うんだ』

『…………』

『大丈夫ですよって、及川さんならすぐに調子よくなりますよって言ってくれるだけでいいから!』

『………はあ』

『…………』

『…………よしよし』

『………!』

『今日はたまたま調子が悪かっただけです。あれだけ練習したんですから、明日はちゃんと入りますよ』


「今井が」

「デレた…」

「天変地異の前触れか?」

「及川固まってんぞ、息してんのか?」

「今死んだら死んだで本望だろ」


『……及川さん?』

『………………』

『ふふっ、照れるくらいなら言わなきゃいいのに』

『………っ!!!』


「あ、動いた」

「どこ走ってくんだよあいつ」

「知らねえ、帰るか」


20140530


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