◇ため息まで白い
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『はぁまったく...』
「おお藍ちゃんでもため息つくんだね!」
『ボクも自分にそんな機能は無いと思ってたけど、ショウやナツキと居ればそうなるよ』
おまけに名前も何だかんだボクに手間をかけさせたりしてくるし
『ため息は幸せを逃すとかレイジは言うけどまったくだよ』
すると名前は何か閃いたと言わんばかりの顔をした
「藍ちゃん、ため息は一種類だけじゃないんだよ!」
『どういう意味?』
そう返事をすると名前は
藍ちゃんでも知らないことがあるんだ、へぇ〜。
とボクを見下すような顔をしてきた
名前のくせに生意気
「よしっ!そうと決まれば、藍ちゃん!行くよっ!」
『行くってどこに?』
「ナイショ!とりあえず私にまかせて!」
ボクの手を半ば無理矢理引いて、名前の言うナイショの場所へと連れていかれた
『...もう少し丁寧に扱ってくれないと腕ちぎれそうなんだけどな』
―――――
『ねぇどんどん寒いところへ向かってない?』
「いいのいいの!」
普段寒い寒いと連呼しているくせに今日の名前はアクティブだ
それに名前がまかせて!と言い、今まで大丈夫だったことはボクのデータにない
さすがのボクでも今回は少々不安を感じた
「こっから先は私が誘導するからさ。
だから藍ちゃんは私の手を握って、目も瞑っててくれない?」
『え?』
「いいからほらっ!」
『そこまで言うなら...』
名前に誘導されるがままに付いて行くなんて少し癪だな。
と思ったけど、どうやらボクにも好奇心というものがあったみたい
言われるがままに目を瞑り、名前が差し出す手を握った
ふんふんー。と耳を疑うリズムで鼻歌を歌う名前
ご機嫌な様子でボクを引っ張るのは構わないけど、ここ結構足元がおぼつかないんだけど
明日は仕事だし、転んで怪我をしたら支障が出て困る
『ねぇ本当に大丈夫?』
「大丈夫大丈夫!って藍ちゃんまだ目を開けちゃダメだからね!」
一体どこら辺が大丈夫なんだろうか、なんて考えていたら
「よーしオッケーだよ!藍ちゃん目を開けていいよ!」
『・・・・・。』
しばらく目を閉じていたせいだろう
目を開けて最初何なのか分からなかった
『うん、きれい...』
そこには視界一面に広がる白い雪があった
『...名前が言うもう1つのため息の意味分かったよ』
「へへっよかった。ため息は気苦労の時だけじゃないんだよ。
今みたいに感動した時や、リラックスした時とかね」
そう笑顔で言う名前は一面に広がる白い雪より断然輝いて見えた
雪は白く輝き、景色を一面に白くし、彼女の吐息も白くする
不思議と気付けば、この先も名前と幸せなため息をつきたいと強く思うボクがいた
ため息まで白い
2014/02/16 Sun.
題名は「確かに恋だった」様からお借りしました
ありがとうございます!
犬もリラックスとしてため息をつくそうで可愛らしいですよね
全国的に大雪ですが藍ちゃん漏電しないか心配です(笑)