◆オーシャンブルーの輝き
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※最初に※
こちらは瑛一ver.なので、「オーシャンブルーの涙」から
お読み頂くのをオススメしてます
さいきんよく雨が降る
降っていることに気付かないことも多い
そんな災難続きで
「くっ、また傘を用意しそこねた」
深夜の収録が終わり、スタジオを出れば突然の雨
またコンビニで傘を買う気にもなれず
そのまま雨が降り注ぐ中帰った
翌日も知らぬ間に小雨が降っていて
そんな時も思い出すのは愛しいあいつ
『久しぶりに会えるね。ご飯作って待ってるから』
この時間帯なのになかなか進まない車
いつも気にならない赤信号にもイラつきを覚えた
やっと彼女の元へ着き
机には俺が好きな料理と体にも良さそうな数々の料理
そして机には座ったまま寝ている彼女
申し訳ない、その言葉しかなかった
ふと音がするテレビに目を向ければ、この間俺が出演した番組が流れっぱなしだった
『ん..あっ!帰ってきたんだね。おつかれさま!』
ぎゅっと俺の胸に抱きついてきて
久しぶりの彼女の香りは癒された
最後に会えたのもいつだったか
本当に随分会えていないのか、忘れてしまう程忙しいのか
『会いたかった』
泣いているのだと気づいた
『テレビや雑誌を見れば瑛一いるもんね。寂しくないよ』
笑顔でそう言う
寂しくないなんて嘘だろ
さっきお前がうたた寝してた時に、頬が濡れていただろうが
ゆっくり寝てろ。
そう言ったのに俺のために朝食を作ってくれた
ただ俺と少しでも居たいのか、それとも
『最近雨ばっかり。早く晴れてくれないとお洋服がカビちゃう』
彼女はそう言った
名残惜しいが仕事へ行く時間も近づき
「じゃあ行ってくる」
そう言い彼女を抱きしめ、顔を近づけた
だが互いの唇が触れることはない
目標とするトップアイドルになるまでお預けと2人で決めた
だから
『瑛一...』
そう言われた時に俺は察してしまった
いや、気づいていたかもしれない
『さよならしよ』
「っ...」
何故気づいてしまったのだろう
何故こうなる前に気づけなかったのだろう
「分かった」
そう言うことしかできず
『ありがとう瑛一』
別れの決断を大切な人にさせてしまった俺
最後まで迷惑をかけてしまった
口を開けばする気もないのに
自分を正当化させる謝罪や余計な言葉が溢れそうで
何一つさせてあげれなかったのに
全て俺が悪いのに
いたたまれなくなり、逃げるように去っていった
ふいに小走りになっていた足を止めて
振り返ってしまう俺がいた
もしかしたらあいつが追いかけて来るかもしれない。
そんな都合のいい期待をして
“苦労すると思うが俺と一緒に居てくれないか” と言えなくて
大切な彼女も幸せにできないのに、
そんな俺が天使たちに天国を見せれるのか
俺はこの先輝けるだろうか
輝くのが彼女への恩返しになる
だが別れた後に輝いたら、輝いたら彼女との過去を否定しそうで怖い
「少し冷えるな...」
あいつまた風邪をひかないだろうか
いや、この俺が心配する権利などもはやない
ふと気付けばまた雨が降っていた
「また急に降ってきたな」
急な雨に傘など持っておらず
もしあいつが隣に居たら
『私も傘持ってないや。でも一緒に濡れちゃおっか』
とでも言ったのだろうか
だが今となってはそれも空想話だ
降り続く雨は止むのだろうか
なぁ、テレビに映る俺は輝いてるか?
雨音がうるさい
雨雲が消え、空が輝くのはいつだろうか
いつかのオーシャンブルーの輝き
2013/12/31 Tue.
【オーシャンブルーの涙】の瑛一ver.です。
涙の方をお読み頂いた後にこれを読んで頂く。
という形をオススメしてます
なので流れが「お?」と微妙になるかもしれないです。
一応大丈夫だと思っているのですが
そしてヒロインのと比べると長くなりました。
瑛一とヒロインちゃんの今後はどうなんでしょうね