◆オーシャンブルーの涙
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ポツポツと外から聞こえる
最近よく降る
最後に晴れたのはいつだろう...
洗濯も乾きにくく、服がカビ臭いアイドルなんて嫌だね
と言うと彼はそうだな。と笑った
いつ次に晴れるのだろう
次に彼と会えるのはいつだろう
「じゃあ行ってくる」
そう言い彼は私を抱きしめ顔を近づけた
だが互いの唇が触れることはない
正式にデビューが決まった時に二人で決めた
トップアイドルになるまでお預けと
昨夜は久しぶりに彼と会える事になり
ご飯を作って楽しみに待っていた
だけど収録が押したみたいで結局彼が
帰ってきたのは日付が既に変わった頃だった
“彼はアイドルなのだから"
そう何度も言い聞かせてきた
誰も悪くない
でも普通に彼と外でデートすらも出来ない
もしかしたら私は彼の邪魔をしてるのではないのか
そう思ってしまって
『瑛一...』
「なんだ?」
彼の声が震えていたのは気のせいでなかったと思う
『さよならしよ』
「っ...」
少し間が空いた
「分かった」
長年付き合っていて
私の決意が揺らぐ事は無いのを分かってただろうし、とっくに気持ちを察してたかもしれない
だからこその返事
どんな顔をしていたか知りたくなくて、
見なくても分かっていたけども
『ありがとう瑛一』
さよなら瑛一
パタンと扉が閉まる音が聞こえ
顔をあげると見えたのはただ無機質な扉だけ
さっきまで抱きしめてくれてたあの人はもう居ない
急いで扉を開けたけども姿が見えなかった
ポツポツと雨が肌に当たる
『...風邪ひくから部屋に戻らなきゃ』
“まったく風邪なんかひいて仕方ないな"
いつの日か風邪をひいた私に彼がそう言った
次々と今までの思い出が蘇ってきて
気がつくと雨ではない何かで頬が濡れていた
『あぁ、私泣いてるのか』
キッチンへ行けば先ほどまで一緒に食べてた朝食のお皿がシンクに残っていて
彼との思い出も、彼が居た跡も残っている
なのに彼だけは居ない
外の雨のように止まることの無い私の涙は、私の想いは綺麗だったのか
雨音がうるさい
最後に晴れたのはいつだろう
止むことの無い オーシャンブルーの涙
2013/08/12 Mon.
瑛一!
台詞少なめで情景や感情をメインにしてみました
台詞少ないなら別に瑛一でなくてもいいのでは?
と思うかもしれませんが、デビュー前からの長い間の交際。
という設定で真面目な瑛一を書きたかったので
満足です(ノ)・ω・(ヾ)
そして今回の小説は企画サイト様の企画からです☆彡
ぜひまた参加させて頂けたら嬉しいです(//∇//)