◇好きだけど
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『レンー、これもいいんじゃない?』
「うん、これもいいね。ありがとう」
そう言ってレンの大きな手で頭を撫でてくれた
『それにしても今回は雑誌に使う服を
自分で選ぶとか大変だねぇ』
「でも俺はこうしてレディとショッピング出来て嬉しいよ」
『えへへ』
『あっ! レンこの服は?
この間雑誌見てて好きって言ってた服じゃん』
「どれだい?」
『私この服オシャレだし好きだよっ』
「レディ、」
『ん?』
レンの顔を見ると少し悲しげな顔をしていた
「せっかく選んでくれたのにごめんね。
この服は今回着れないかな」
『えっ、なんで? レンもこの服好きなんでしょ?』
レンがこの服嫌いならまだしも、
私もレンもこの服好きじゃん
「撮影現場ではね、俺の好き嫌いじゃなくてコンセプトに合った服が求められるんだ。」
『コンセプト...?』
「うん、今回のテーマとこの服の雰囲気がちょっと違うと思うんだ」
『そっか...』
「ごめんね、でもレディの気持ちも嬉しいよ」
そういいレンはまた私の頭を撫でてくれた
さっきよりもっと優しく、暖かい手で
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『わーっ、このレンいつもよりカッコいいっ』
「そうかい、ありがとう」
この間一緒に選んでた服を使った
雑誌を二人で見ていた
『そうだっ、そこにある袋のあげるっ。
レンにプレゼントなの』
「それは嬉しいね」
『えへへ、どうしてもこの間の服を着てるレンが見たくて』
実はあの服を後日買ってきてレンに
あげようと準備してたのだ
「おや、服の割に重いみたいだけど」
『え? あっ...』
「レディ...?」
『なっ、なぁに?ダーリン...』
「これは俺に対する当て付けかい?」
そう言い中身を見せつけてきた
あ、あのレンさん、あなたのキレイな
お顔が恐ろしい事になってますよ...?
『ちっ、違うのそれは友達にお使い頼まれてて...』
「へぇー、随分アイツに熱心なお友だ
ちがいるんだね」
アイツ?
「この京都雑誌だけど、レディ本当は
表紙の聖川目当てで買ったんだろ?」
よく見るとレンが持っていたのは
真斗くんが表紙の雑誌だった
『違う違う、それは本当に違うの!』
「"それは"ってどういう意味だい?」
ぎくっ!
気付いたらレンの顔が目の前にあった
「ねぇレディ、俺に教えてくれるよね?」
そんなに見つめられると恥ずかしい
『あ、あのね、中身見たら分かるんだけど
京都の旅館特集があってね』
「京都の旅館?」
『わわっ、雑誌開かないでっ』
そう言ったのに彼は開いてしまった
「彼氏と初めてのお泊まり特集?
つまりレディは俺とお泊まりしたかったのかい?」
『う、うん』
あぁー、何でプレゼントの服と
間違えちゃったんだろ
もう恥ずかしいっ
手で顔を覆って顔を隠した
「レディ...」
顔を覆っていた手を引っ張ってきた
『はっ、恥ずかしいっ。 だから顔、見ないで...』
次の瞬間には彼の腕の中に居た
「レディそれは反則、可愛すぎだよ。
ね、今度お泊まりしようよ」
『えっ?』
「嫌かい? それだったら辞めるけど」
『ううんっ、私レンとお泊まりしたいっ』
「嬉しいね」
その言葉を聞き、私も彼にそっと腕をまわし、そして互いに言葉も発する事なくキスを交わした
★オマケ★
「じゃあレディ、今夜は帰さないよ」
『えっ今夜?』
「お泊まりしたいって言ったじゃないか」
『はっ、早いよっ。心の準備とかもしてないし』
「大丈夫、俺は心の準備出来てるから。
旅行の練習と思ってさ」
『思えませんーっ』
2013/7/8 mon.
ヒロインが最後あたりに『恥ずかしいから顔を見ないで』
と言った後にレンが抱き締めたのは優しさでしょうか
それとも可愛すぎて抱き締めただけかな(ニヤニヤ←
そして京都へお泊まりへ行った時には
プレゼントの服を着るのでしょうかね(*^^*)