02


ちょっと現実逃避したい。目の前でわんわん泣きわめくこどもが、あの犬みたいな俺よりも背の高い黄瀬だと言うのか
確かに目に良くない鮮やかな金髪は黄瀬だが、いかんせん子供だ。ガキだ。どうやったら若返るんだよ可笑しいだろ?
桐皇のマネージャーの料理どうやってつくるんだ、逆に作ってみたいぞ
そんな感じで現実逃避していても仕方ないと目の前の小さな子供を抱き上げてあやす。泣きわめいていた黄瀬はきょとりと目を真ん丸にしてからもっと!と笑った
うん、笑った顔も黄瀬だ。間違いない。不覚にも可愛いとか思ったのは気のせいだと思う事にした

「…なんか慣れてるな」

「あ?」

「何でもないデス」

不機嫌に見えたのかびくりと肩を跳ねさせた森山。そんなに拳骨痛かったのか
少し罪悪感を感じながらも知ったことではないと目を反らしてきゃっきゃっとはしゃぐ目の前の少年に意識を移す。金よりは黄色に近い髪、蜂蜜色の瞳。長い睫毛。確かに特徴は黄瀬だ
黄瀬をちっちゃくして目を大きくした感じ

「ホントに黄瀬なのか?」

「んぅ…?」

こくりと首を傾げてから縦に振った黄瀬。マジでこんなに小さくなったのかコイツ
抱き上げられてはしゃぐ黄瀬を青峰に渡す。黄瀬は少し沈黙してから舌ったらずな声でがんぐろっ!と叫んだ。あ、青峰青筋浮かんでる
その鬼のような形相を見た瞬間、黄瀬はまた涙腺が緩んだのかわんわん泣き出し黒子に抱き着いた

「青峰くん、相手は子供ですよ。そんなにむきにならないで下さい」

「だってよテツ、コイツ黄瀬だぜ?」

「今は子供です。僕は子供をいじめる趣味はありません」

口では敵わないのか青峰が黙り込んだ。でも見えた。黒子が抱き上げたまま後ろを向くとべっと舌を出す黄瀬。悪戯っ子のように目を細めて舌を出す黄瀬はやっぱり小さいときからイケメンだ。イケメンと言うかこの場合は可愛いか
あーあ、青峰また青筋浮かんでる。そのうち血管切れるんじゃないか。緑間が押さえてるけどなんか今にも殴り掛かりそうな顔してるし

「はなっせ緑間ぁ!!」

「離したら殴るだろう馬鹿め!!」

「んなことより、コイツどうすんだよ」

緑間と火神に押さえられてる青峰に桃井の鉄槌。効果は抜群だ!
そんな奴らはほっといて黒子に抱っこされてる黄瀬を撫でればふにゃりと頬を緩ませる。あー、黄瀬なのに癒されるわ
抱っこ!と小さい手を伸ばしてくる黄瀬を黒子からもらうときゃいきゃいはしゃぐ。そんな俺達を和やかに見守るのは今まで静かだった誠凛メンバー。和むわーとほんわかしている、目的忘れてないか?

「で、俺はなんで呼ばれた訳?」

「いや、お前に預かってもらおうと思って」

幸男の言葉にぴしりと空気が凍る。正しくは俺の周りだけ
まぁ、説明聞いた時から薄々そんな感じだろうなとは思ってたよ?だからそこまでは驚いてない
抱き上げた小さい少年を見る。きょとりと瞳を大きくさせた黄瀬と目が合う

「なぁ」
俺の家来るか?

(黄瀬は言った言葉にきょとんとしてから)
(大きな声ではいっしゅ!と頷いた)


(3/8)
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