攻撃してきたかと思えば握手を求めてきたり…小人さんは不思議だ。結局敵なのか味方なのか分からなかったけど、今はひとつ分かることがある。共通の敵が現れると、人(人?)は団結するのだということ。小鬼が現れた途端、小人さんたちは私なんかそっちのけであっという間に小鬼に針を向けていた。
“巨人だ、囲まれてるぞ!”
“撤退する!総員帰還準備!”
“着衣の巨人を壁付近まで誘導する!潰されねぇように一定の距離を保て!”
相変わらず何と言っているかは分からないけれど、多分逃げろとかそんな感じのことだと思う。握手してきた金髪の人と最初に来た一寸法師はどうやら偉い人らしく、小人全体に向けて支持を飛ばしているようだ。残ったもう一人の茶髪の人だけがまだこちらをじっと見詰めていた。
(…何だろうこの人)
“ねぇ貴女、どこから来たの?どうして服を着てるの?どうして巨人なのに巨人から攻撃されてるの?”
「…うーん、何て言ってるんだろう」
“…くぅ〜っ、滾るなぁ!絶対コミュニケーションしてやる!後で沢山話そうね!”
一生懸命話しているのは分かるんだけど、残念ながら何て言ってるのかは全く分からない。取り合えず頷いておいた。
あ、よく見たらこの人眼鏡掛けてる。ちっちゃいのにすごいなあ。
“今頷いた!?頷いたよねえ!?すっげ私巨人と意思疎通しちゃったよ!!”
眼鏡の人はどうやら興奮しているようで、私の方を見て目をきらきらさせている。と、その背後に小鬼の手が伸ばされた。
「危ないっ!」
私は考えるよりも早く手を伸ばしていた。
じゅっ、と嫌な音がした。何この小鬼、ものすごく熱い。火傷しちゃった気がする。
“……い、今私のこと助けてくれたの?助けてくれたよね!?ありがとう、巨人に巨人から庇われるなんて!!”
“おいクソ眼鏡、いつまで遊んでるつもりだ。さっさとそいつを連れてこい”
“リヴァイ!今この子私のこと助けてくれたんだよ!”
“あ?たまたまだろ”
眼鏡の人と一寸法師の会話の内容は気になるけど、それよりも集まりだした小鬼の方が問題だった。大きさ的には子鬼の方が私と近いけれど、裸で全く言葉も通じない小鬼より握手してくれた小人の方に情が湧くのは当然のことだと思う。というわけで小鬼を蹴り飛ばす。
小鬼が小人たちに追いつくより早く、小人たちは馬に乗って走り出していた。良かった、馬に乗ったら小鬼からは逃げ切れるみたいだ。
手招きされたので、私も列の後に着いて行く。拠点とかに向かってるのかな?というかこの人たちって何なんだろう。皆同じ服着てるし戦闘能力は高いし…軍人とか?
私の脳内、ほんとどうなってるんだろう。こんなディティールに凝った夢見せてくれなくていいから、早く醒めてほしいんだけどな。
終わらない明晰夢
(まさか夢じゃないとか…まさか、ね)
祥子