隣のレッド君

ポケット高校。
つい昨日、私はこの学校に入学した。

新しいクラスには中学の頃からの知り合いもいるが、知らない中学の生徒のほうが断然多かった。
やはり、新しい学校、新しいクラスとなると、新しい友達というものが欲しくなる。
周りの生徒達も席の近い生徒と話したりして交友関係を広げている。

私も誰かに話しかけてみようかな、と隣の席をチラリと見た。
黒い髪に、どこか神秘的な雰囲気をもつ少年が、ピカチュウをひたすら撫でていた。
ピカチュウは彼になついているようで、ひどく嬉しそうにしている。

あまりにピカチュウが幸せそうにしているので、じっと見ていたらピカチュウと目があった。
こちらを見て、ちょこんと首を傾げる姿は鼻血ものだ。
めちゃくちゃ可愛い。殺人級に可愛い。

するとピカチュウの主の少年もこちらを向いた。
少年も何も言わず、ただじっとこちらを見る。
なんとなく目をあわせていたら、少年も首を傾げた。
それが先ほどのピカチュウの動作とかぶり、これもまた凄い破壊力をもってナマエにダメージを与える。
しゅ、主人もかわいいぞ!

1人と一匹にくらくらしていると、今まで何も喋らなかった少年は口を開いた。

「……血」
「…ち?」


ぽたりぽたり。
気がついたら、本当に鼻血が垂れていた。



鼻血出しちゃうくらい可愛い



20101025

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