今日も素敵です

ここ、バトルサブウェイに通いはじめて、もう1年になる。
ポケモンバトルが強いわけでは無いのだが、ポケモンバトルが好きな私は、いくらでもバトルの出来るこの施設が大好きだ。
いつも15、6連勝あたりで負けてしまうのだが、たくさんのポケモンも見られるし、バトルも出来るし、私としては満足である。
しかし、最近はもう少し勝ちたいと思うようになった。
それは、21戦目に現れる彼に会いたいと思うようになったからである。
黒い帽子に黒いロングコート、丁寧な口調に、双子の弟とは反対にへの字に曲がった口。そして無表情。
そんな彼、ノボリさんと出会ったのは私がバトルサブウェイに通いはじめてからすぐの事だった。
電車が来るまでの待ち時間、偶然居合わせたノボリさんと会話が盛り上がり(私が一方的に話していただけ)、顔見知りになった。
それから、会うと会釈をしてくれたり、話をしたりするようになり、気が付けば彼のことが好きになっていた。
ノボリさんへの気持ちに気付いたのは、いつもギアステーションにいるジャッジさんのおかげである。
ポケモンの判定をしてもらいに行ったら、いきなり恋愛相談はじめました、という紙を見せられた。
そして「君はサブウェイマスター、ノボリのことが好き、そうジャッジできました!」と言われた。
いきなり過ぎてなんのリアクションも取れなかった。
しかし、よくよく考えてみると、ノボリさんのことが好き、という気持ちがとてもしっくりきたのだ。
暫くジャッジさんの顔を見た後、ポケモンの判定をしてもらうのを忘れて「ありがとうございました」と言って帰宅してしまった。
だって、なんだか恥ずかしかったのだ。

ジャッジさんって凄いな〜とのんきに考えていた。

この時の私は、実はジャッジさんがクダリさんの差し金であるということを知る由も無かった。

それが2ヶ月前の出来事である。
そして今でも、私は遠くで電車に乗り込む彼を見ているのだ。

ああ、今日もかっこいいな…。
へへ、と笑うと腕の中にいたメタモンが身動ぎした。
案に気持ち悪い、と言っているんだろうか。

すると、ふいに遠くにいるノボリさんと目があった。
ノボリさんの乗った電車はちょうど出発の時刻だ。
運転席のドアの辺りに立っていたノボリさんは、軽く頭を下げると、そのまま電車に乗り込んだ。


それだけで、今日がなんだか幸せである。


(くはぁ、ノボリさんかっこいい!)
(………)


20110312

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