「先生…そんなにニコニコして言わないでください。傷つきます」
授業中、テストを返却していたダイゴ先生に笑顔で言われた。
今まで無言でテスト返却していたくせに、私の番になってコメントするとは。
そんなに悪かったのか私の点数は、と思い自分のテストの点数を確認した。見るんじゃなかった。
とぼとぼと答案用紙を握りしめ、席につくとテストをマツバに奪われた。
マツバは私の点数を確認すると、ニッコリと笑ってシャーペンを取り出した。
そして、芯をカチカチと出し、私の答案用紙に何かを書いた。
(爆笑)
笑えねーよ。
「凄いな、お前」
「うるさい」
「僕のテスト見せてあげようか?」
「いい、いらない…って見せないで。丸ばっかりの紙見せないで」
「僕も初めて見たよ、そんな更地の答案用紙」
「もう何も言わないで」
「こら、ナマエちゃんマツバ君イチャイチャしない」
ダイゴ先生が余計な助け船を出したおかげで、教室中の女子生徒から睨まれた。
やめてくれダイゴ先生、あとマツバその苦笑いやめて、本気で傷つく。
視界の端でユウコさんがニヤニヤしているのも、少し勘にさわった。
「イチャついてなんか無い……」
ギリギリと歯を噛んで言ったが、隣の黒い奴にしか聞こえなかったらしい。
「本当、いい迷惑だよ」
奴以外誰も反応してくれなかった。
「ナマエちゃん、マツバ君に勉強教えてもらったら?」
「嫌です」
「僕も勘弁だな」
ははは、と爽やかに笑うマツバに女子達がざわめく。
マツバ君かっこいー、と聞こえるが彼女達の耳は節穴だろうか。
今、結構辛辣な事言ったぞ。
「まぁ、どっちでもいいけど。とりあえずナマエちゃんは次のテストまでに勉強をしておこうね」
「……はい」
クスクスとクラスメイトに笑われるのは恥ずかしいが、隣で笑いを堪えているマツバには腹がたった。
いつか見返してやるんだからな!
20110328