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「どうしたの」
「ベルトが緩いの…予想していたよりずっと手首細くて」

手元で何かしてると思ったら響は舞良に腕時計をはめていた。

ベルト部分はシルバーで出来ていて、フェイスを縁取るところまで統一した輝きを放っていた。

黒の指針が光っていて、その下の文字盤はガラスで出来ていた。

四ヶ所に時間を示す為の石が嵌め込まれ、七色に輝いていた。
ダイヤモンドに違いない。

文字盤がガラスなのでその下にある金色の歯車の塊がカチカチと動くのが見えていた。

縁のシルバーにはBELTAと彫られていた。

どこを取ってもあまりに綺麗な時計に舞良は一瞬見入ってしまい言葉を無くした。

「綺麗でしょ、まだ未発表なの。会社の人にこっそり試作品もらっちゃった。
内緒よ篠崎さん、ごり押ししたからお父さんにバレるとクビになるかもしれないわ」
「おっしゃる通りに、お嬢様」
「そ、そんな貴重な物!付けられるわけない!」
「私はマイロのスタイリストなの、モデルに決定権はありません」

多少の緩みは諦めようと言って響は時計を箱に直した。

篠崎さんは最後に舞良の足を測り、数足履かせたあとに満足そうな笑顔を舞良に向けて終わりましたよと言った。

「ありがとう篠崎さん、サイズ直すの間に合いそうかしら」
「はい、他の予約を後回しにしますからご安心を」
「さすがね!私が選んだスーツでお願いね」

後回しって!いいのか社長娘!というか支店長!

舞良の開いた口など気にもとめず、二人は黒い笑顔で微笑みあった。


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Dog-ear ??
CINDERELLA STORY






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