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「灰宮社長に見付からない内に帰るにはね、9時までには出ないといけないわ」

リムジンに乗って会場まで急ぐように運転手に告げた響は、舞良に帰る算段を話した。

「パーティーが終わるのは11時だけど、大人は9時に出るの。若い人で羽目を外すパーティーがその後に計画されていて、私とヤスさんの婚約発表が終われば親やプレスの人は帰るの」
「着いたら結構すぐだね…」
「私の携帯を渡しておくわ、アラームをセットするから鳴り終わる前に帰るのよ。このリムジン貸すから」

響は自分の携帯を取り出して、アラームをセットすると舞良のポケットにそれを突っ込んだ。

「私も灰宮社長が帰る前に鍵を返さないと…」
「あ、そうだよナリ、内側からじゃ鍵が掛けられない!」

清子が帰る前に帰っても部屋のドアを確認されては、外に出た事がバレてしまう。

「今まで散々無視していたのに社長がマイロの部屋に行くとは思えないわ。明日の朝、必ず迎えに行くから心配しないで」

響は微笑んで言った。

それから会場のホテルに着くまで、響は泣いて崩れた化粧を軽く直し、舞良はそれを見たり外を眺めたり、そわそわして落ち着かなかった。

「ナリ、綺麗だね、ドレス」
「ありがとう…急に何?」
「葉っぱと花は何かの仮装なの?仮装はルール?」
「私は植物がモチーフなの、ドレスは滝のイメージで…ルールと云うかハロウィンに相応しい格好でって書いたから皆軽く仮装してるわよ、男の人は奇抜な模様のスーツとか」


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Dog-ear ??
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