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「とりあえず、この服に着替えて貰える?カーテンの向こうが空いてるから」
「あ、はい…」
「マイロ、はい、コンタクト」
コンタクトは響がネットで買った物だった。
舞良の保険証は清子が持っているので、正規の手続きでは買えなかったのだ。
舞良は響からコンタクトと、美歌からスーツを受けとってカーテンを閉めた。
スーツは黒で、襟は白いサテン地で出来ている綺麗なスーツだった。
すべすべのシャツに腕を通し、ボタンを止めたが、どこまで止めていいかわからず途中で止めた。
全てが新品で美しく、こんなの自分に似合うのだろうかと思った。
鏡を見ても、少し情けなく見えた。
ネクタイの結び方がわからず、そもそもネクタイというよりスカーフのように見えるそれをどうすればいいかわからず、首から垂らして放置した。
初めてのコンタクトを手に取り、封を開けたが全くわからず、ついに舞良は諦めた。
「駄目だナリ、どうすればいいかわからない…助けて」
舞良がカーテンの向こうから助けを求めると、響は遠慮なく入って来た。
美歌は何故か入って来なかった。
「何がわからないの?」
「あ…コンタクトの入れ方…、何で黒木さんは入って来ないの?」
「私が言ったの、失礼だったから綺麗なマイロを見せて驚かせてあげるんだから」
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CINDERELLA STORY