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家を出て響のリムジンに乗り込むと、車体はゆっくりと発進した。

響は運転席との仕切りをリモコンで開けて、出来るだけ急いで本店へ行って、と運転手に言った。

舞良が革張りの内装をキョロキョロ見ていると、響はお腹空いてない?と聞いた。

「昨日の朝、食べ物が部屋の中に置いてあったから大丈夫だよ」

今日はほとんど食べていないが、パーティーに向かう緊張でほとんど空腹を感じなかった。

そういえば響はさっき舞良の監禁を知らなかったと言っていた。

舞良の差し入れに関する仮説は間違っていた事になる。

もしかして本当に恋が自発的に、舞良に食事を与えようと思ったのだろうか。

しかも響の話によると鍵は清子しか持っていないらしい。

恋はわざわざ鍵を盗んで舞良の部屋に入ったのかと思うと、感謝を通り越えて申し訳なくなって来た。

「でも良かったら本店に着くまでに食べてもいいわ」
「ありがとう」

響はサンドイッチと水やお茶の入った紙袋を舞良に渡した。

せっかくなので食べていると、いつの間にか一度来たBELTA本店へ到着して、舞良はドキドキしながら響とそのドアをくぐった。


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Dog-ear ??
CINDERELLA STORY






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