切ない/甘
「なあ、晴矢。」
「あ?」
「星、見に行かないか…??」
「星?!なんでまたそんな突然…」
「…今夜、流星群が通るらしい。テレビでたまたま見てな。」
「流星…かあ。しゃ−ねぇなあ可愛い風介の為に行ってやるか」
「…!!なんだと?!貴様…っ」
風介が俺の髪を引っつかむ。いてぇんだけど。
「いてぇ!!風介、照れ隠しはやめろって!!」
「て、照れてなどいないっ!!!」
「いでででっ!!力強めんなっ」
「うわっすっげ、」
「綺麗だろ。お前もたまには星見に行ったらどうだ??」」
「俺はんな暇ねーんだよ。」
とはいったものの、ここは富士の樹海。周りにはあまり光がなく星がかなり目立つ。
流石に冗談でも否定程綺麗だった
「…晴れててよかったな」
「あたりまえだ。事前に調べておいたんだから、どこかの誰かと違って慎重派だからな。」
「…………るせ、」
こんな、たわいのない話しをして風介と時間を過ごせることがとても幸せだった
何より居心地がいい。
やっぱ敵対してる仲でも幼い頃からの感情は変わらないんだな、と思った。
「…あっ!おい、見ろ晴矢!!!」
「うぉぉっ!?」
そこには想像を超えた、無数の流星が黒い空を走っていった。
やべぇ、マジで綺麗。俺、天体観測が趣味になっちまうかもな…
までは言い過ぎか。
「…来てよかっただろう??」
「あぁ…マジでやべぇな……。」
「なあ、晴矢。」
「あ?」
「お前のこと、好きだ。」
「あぁ………あ?!」
「だから、お前にはサッカーをずっと続けてほしい」
「ふっ、ふうすけいま……」
「私のこと、これからもずっと…忘れないでほしい。」
「ど、どういう意味だよ??」
「そのままの意味だ。いつもありがとな、晴矢」
「ぉ、おう…お前、今日なんでそんな素直なんだよ。俺はお前の口からありがとう。なんて言葉、一生出てこないと思ってたぜ…」
隣でねっころがる晴矢の眼が真ん丸に見開いている。そんなに珍しかったか?
まあ生憎、我が儘で素直になれないのは自覚済みだが。
「そろそろ帰ろう、晴矢。私はもう寒い」
「え…?だってまだ流星見えるじゃねーか」
「私は寒いし眠い!!帰るぞ。」
ったく何処まで我が儘なんだコイツ!!
っていっても結局帰る俺も俺だが…。
(んにしてもさっきの風介なんだったんだ、??ロマンチックな感じに流されて正直になったか…??)
少し気になった俺だが、何故か口には出さなかった疑問。風介が隣で、
「何も聞くな、」
と言われ続けていた気がする
「おやすみ、晴矢。」
「ああ、じゃあな!」
二人別の部屋へ向かう。
晴矢はベッドの中でずっとデレた風介の言葉がぐるぐる回っていた。
(……っつか風介、俺に好きっつったよな?!ってこては俺達両想いって事だよなっ???)
やべぇ絶対いま俺真っ赤だ!!
嬉しすぎんだよ不意打ちすぎんだよ風介!!
こんなに幸せな気持ちで寝るのは初めてだぜ!!!
(明日、風介に想いを伝えよう…)