させてください。

 懇願するような、瞳だった。
「兎さん。おれ、」
 してあげたい。
 ひと言、レオナルドの唇から零れ落ちた言葉は、兎の胸を締めつける。レオナルド。掠れた声は、ぺたりと座り込んで兎の股間を見つめるレオナルドの耳には届いていない。
 夢中になって。けれど不慣れな手つきでおずおずと兎の着物を取り払い、ゆっくり合わせを開いていく。
 既に、兎の性器は薄い布を押し上げて主張をしている。苦しげに下着の中へ押し込められたそれを早く自由にしてあげたくて、愛してあげたくて、レオナルドは兎の下着の紐を解いた。
 ぱさりと、兎の性器を覆っていた白い布が畳へと音を立てながら落ちていき、直後に勢いよく兎の性器がレオナルドの目の前に顔を出す。
 先端からとろりと先走りを垂らすそれをまじまじの見るのは、初めてだった。
 これが、いつも自分の後孔を掻き回しているのだと思うと、レオナルドの胸は高鳴り、瞳が瞬きをする度にうっとりと蕩けながら揺らめいていく。
「兎さん」
 それは、目の前の性器になのか。それとも兎になのか。どちらに向けてなのか分からないほどに、レオナルドの視界は兎の雄で充たされていた。
「んん、」
 ちゅるりと先走りを舐め取ってからくびれまでを含み、口内で亀頭をぐるりと舌で舐め回していく。空いた腕は兎の腰へ回し、縋るように羽織を掴む。手を使うのは後だと、兎に仕込まれていた。
 ゆっくり、時間をかけて。気の済むまで先端を堪能すると、今度は喉の奥まで咥えこむ。裏筋を舌で刺激してやると、兎がぴくりと反応を示した。
「ん……ん」
 甘ったるくねっとりとした声が漏れるレオナルドの口元からは、唾液がぽたぽたと落ちて畳を汚していた。
 それでも、レオナルドの舌は止まることはない。
「レオナルド」
 けれど。兎はもどかしさに震えていた。
 仕込んだとおりにしてみせるレオナルドを見下ろしながら奉仕されるのは、確かに、善いのだが。
 レオナルドは自身の口いっぱいに兎の性器を含んではいたが、それでも足りていない。
「レオナルド」
 甘やかすように、レオナルドの頭を撫でて。
「もっと、奥まで咥えなさい」
 そのまま後頭部へ手を回し、ぐ、とレオナルドの喉元まで届くようにゆっくりと押し込んだ。
「ん、ぐ」
 急に喉の奥まで侵入した性器に、レオナルドは苦しげに声を上げるが、構わず兎はゆるゆると腰を振って快感を求めていく。
「んんっ、ふ、」
 苦しくて、呼吸すらもままならないというのに。
 喉奥を突かれる刺激に涙を流しながら、それでもレオナルドは愛おしい兎の性器へ、律動に合わせて舌を這わす。
 その温かい刺激に、兎は徐々に限界が近づいていった。
「……っ、上手くなったな」
 レオナルドの頭を撫でて見下ろすと、彼は性器を見つめていた瞳を兎に向けて、微笑むように細めるから。
 たまらなくなり、兎は律動を早めてレオナルドの口内へと欲を放つ。
「う、あ」
 口元から零れた兎の精液がぼたぼたと落ちていき、数分前に畳を汚していたレオナルドの唾液と重なった。
 透明な液体を、放たれた白い欲が覆っていく。
 まるで、兎に支配されている自分のようだと。
 レオナルドは兎の性器から口を離してこくりと喉を動かしながら、ぼんやりと考えた。
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