※ヒロトがヤンデレっぽい
※リュウジがヒロト嫌い
「別れよう。」
冒頭からこんな悲しい感じでごめん。
俺は緑川リュウジ、中学校時代はエイリア学園やらFFIやらでサッカーをしていた。
勿論今もサッカーを続けている、と言っても部活に入ってる訳でもなくあくまでも趣味の一環として。
でもサッカーと言う1つの趣味からできた友達も沢山いるし、今では軽く皆の人気者状態。
そんな俺はもう高校3年生。
あの中学校時代からもう5年近く経ったのが嘘みたいだ。
とまぁこんなことは置いておいてと。
冒頭のとうり、俺はある人物に別れ話を切り出した。
「…リュウ…ジ…?」
そのある人物は、まるで信じられないとでも言うようにカタカタと震えながら小刻みに俺の名を紡ぐ。
そう、こいつは共にサッカーをしていた俺の恋人の基山ヒロト。
ある日ヒロトが俺に告白をしてきて、それから付き合うことになった。
確か中学校を卒業する手前位だった気がする。
まぁ、もう別れるんだけど。
「俺達男同士でしょ、それって法律的には認められてない事じゃんか。だから結婚とか無理だし。
何よりヒロトには男の俺なんかより綺麗で可愛い女の子の方が似合ってると思うよ。」
「…そんな、」
俺達は同性、男同士。
ヒロトは顔がいいんだから、普通に女の子と付き合って結婚して幸せな家庭でも作ればいい。
このまま俺とズルズル引き伸ばしても絶対後でぐちゃぐちゃになるだけ、今のうちに別れるべきだ。
そしてなにより、ヒロトと別れたい1番の理由、
「とにかく、もう別れよう。
俺達別々の大学行くんだし、ヒロトはもうすぐ1人暮らしするんだろ?ちょうどいいじゃんか。」
ただ単に、最近のヒロトが怖いんだ。
俺の事を愛してくれているのは分かる、けど愛されすぎてて怖い、怖いんだ。
いつか、身震いしそうなほど重いヒロトの愛に押し潰されそうで。
最初は過保護だとかそんなので片付く様な事だったけど、最近は学校で俺が廊下で誰かとぶつかっただけでそいつに殴りかかったり、道で俺に威嚇してきた猫も蹴り飛ばしたりする。
俺を大事に思ってくれるのはありがたいんだけど、でもさ…
「……何言ってるの、リュウジ。
俺はリュウジ以外何も要らないよ?リュウジ以外の人間なんて心底どうでもいいんだ。
俺はお前を愛してるんだよ、こんなにもこんなにも。
お前の為なら人間を殺すのだってお安いご用さ!なんなら今から大量殺人して来ようか?
俺が大罪を犯すことでリュウジが幸せになれるんなら本望さ。
お前は俺のすべてなんだ。だからお前が居なくなるなんてありえないし、そんな事考えるだけで気が狂いそうになるよ。
だから俺はお前からは絶対離れないよ?だってこんなにも好きで好きで好きで好きで好きで愛してるんだから。
絶対別れないよ、なにがなんでも。
お前を手放す位ならお前を壊してしまった方がいいのかもしれないね。
嗚呼リュウジ、俺のリュウジ、お前は俺のモノだよ。なにがなんでも絶対に手放さない。
俺たちはずっと一緒にいるんだ、ずっと、ずっとずっと、永遠にね!!」
……予想はしていた。
きっと、ヒロトはあっさり俺を離さないだろうと、別れる事を渋るだろうと。
けどまさかここまでとは思わなかった。
さっきヒロトを怖いって言ったけど、それ撤回する。
正しくは気味が悪い、今すぐにでも吐きそうなほど気味が悪い。
あの頃のヒロトはあんなにもキラキラ輝いていたのに、それがいつの間にかこんな独占欲にまみれた人間になってしまっていたなんて。
はたして何がコイツをこうしてしまったのだろう、いつからコイツはこうなってしまったのだろう。
「ヒ、ヒロト。しょうが、ないんだよ。…別れよう。もう、」
恐怖からか俺の声は途切れ途切れになってしまう、情けない。
確かに昔はヒロトの事が好きだったよ。
けどもう無理だ、今のヒロトとは付き合えない、俺じゃあヒロトを支えきれない。
頼むからどっか行ってくれ、気味が悪い気味が悪い気味が悪い気味が悪い気味が悪い気味が悪い気味が悪い!!
お前の愛なんてしったこっちゃ無い。
無理にお前の愛を押し付けるな、迷惑なだけだよ。
お前のドロドロな愛は世界一理不尽で迷惑だ。
愛が辿り着いた最後それは、甘ったるいラブストーリーには程遠い、