FFIが終わったあと、選手達はそれぞれの母国に帰っていった。

母国に帰って1週間、たった7日が過ぎただけなのにイタリアにいるフィディオは悲しみに暮れていた。
それはもう、鬱とも言えるほど。


「はぁ……」

フィディオはまた1つため息をつく、これで今日何回目のため息だろう。




フィディオがこうなった原因、それは遠く離れたアメリカに住んでいる愛しい恋人、マークだ。

なんせ、アメリカとイタリアの遠距離恋愛。
2人の間にはとてつもなく広大な陸と海が存在していた。

メールや電話はしているものの、実際に会えないというのはとても辛い事であった。


そもそもマークはメールや電話をあまりしないタイプで、メールをしていてもブチる事は多々あり、絵文字も顔文字もあまり使用しない。

電話もかけてくることもほとんど無いに等しく、こちらからかけても出ない事だってある。



しかし今日は珍しく、マークから写真付きのメールが送られてきた。


『フィディオ、聞いてくれよ!カズヤが今日退院したんだ!
これでまた一緒にカズヤとサッカーが出来る、そう思うととてもワクワクするよ。
ちなみに、一緒に送った写真はアスカに撮ってもらったんだ。それじゃあ!』


写真には、マークとディランとカズヤが写っていた。

真ん中にカズヤが居て、隣にいるマークとディランの肩に腕を回している。
そしてディランはともかく、クールなマークまでもがニッコリと笑顔を浮かべている。


その写真を見て、フィディオの胸はチクリと傷んだ。


(分かってる。俺はイタリア、マークはアメリカに住んでいて簡単には会えないという事。
そして、マークの隣に居るのは俺じゃない、別の奴だって事も。)

分かってるから余計に悲しくなるんだ、とフィディオはまたため息をつく。

自分以外の誰かがマークの隣に居るという事実が何とも屈辱的で。


つまりフィディオはディランやアスカ、カズヤたちに嫉妬していた。

しかしまだ中学生であるフィディオが簡単にアメリカに行けるはずもなく、ただ自分の嫉妬心を無理矢理押し殺すしかなかった。



いつもマークのメールには必ず返信するが、今回のメールには返信しないまま携帯を閉じてそっと机に置いた。

フィディオはボフッと音を立て、ベッドにダイブした。

辛く悲しい遠距離恋愛でマークの心が自分から離れません様に、と祈りながら。





遠距離恋愛って辛いね
早く君に会いたいよ、






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