雷門サッカー部にはとても可愛くて可憐な美少女…いや、美少年が居た。

名前は霧野蘭丸。
そしてそんな蘭丸には、ある悩みがあった。




「あああああ霧野可愛いよ霧野頼むから俺の嫁になってくれよそして2人で幸せな家庭を築こう霧野なぁ霧野霧野霧野霧野霧野らぶ!!」
「霧野先輩マジ天使霧野先輩マジ可愛い霧野先輩マジ女顔霧野先輩超好きまじすきまじですきです先輩霧野先輩霧野先輩霧野先輩霧野先輩!!」
「女顔言うな!」



神童拓人と狩屋マサキ。

この2人が紛れもない、蘭丸の悩みの種の原因である。


「あのさ…」
「「なんだ(ですか)? 霧野(先輩)。」」
「いや、その…ちょっと離れてくれないかな。」

今、2人は蘭丸に抱き付いている状態だった。
これから部活、と言うのにこのままでは部活が出来ない。しかし、


「「嫌だ。」」
「ですよねー…」

2人とも蘭丸を離す気は毛頭無かった。


「霧野先輩困ってるよ、なんとかして助けてあげなきゃ…どうしよう剣城!!」
「どうしようつっても…あの2人が離れるのを待つしかないだろ。」
「いやでもあの2人、永遠に離しそうにないじゃん!このままじゃ部活始められないよ!!」

天馬達は蘭丸を助ける方法を考えていたが、なかなかいい方法が思い浮かばなかった。



「狩屋、いいかげん霧野から離れたらどうだ?霧野に触れていいのは俺だけだ。」
「はぁ?俺、離れる気さらっさら無いですけど。と言うか離れるのはキャプテンの方だと思います、ねぇ霧野先輩?」
「そんなわけないよな、霧野?」
「えっ、いや、俺に聞かれても…」

2人の質問攻めにたじろぐ蘭丸。

他の部員たちにはもはや手の施しようが無い状況だった。
万が一蘭丸が襲われでもしたら助けにかかる姿勢ではあるが。


「霧野、お前から離れるべきなのは狩屋だよな?」
「いや、キャプテンですよね?」
「だ、だからその…」
「何だ?」
「2人とも離れるって言うのは…」
「「却下。」」


とうとう蘭丸が本格的に困り果てていたその時。
救世主は現れた。




「おいお前達、まだ部活始めていなかったのか!」
「三国先輩!!!」

今まで先生に呼ばれていたらしく、まだ来ていなかった三国がやっと現れた。

すると三国…いや、雷門のオカンはすぐさま蘭丸に抱き付く拓人とマサキを見つけ、部活が始められない理由を悟った。


「神童、狩屋。霧野が困ってるだろ。離れてやれ。」
「「絶対嫌です。」」
「…ったく」

するとオカンは半ば無理矢理に二人を蘭丸から引き剥がし、蘭丸を救出した。

「大丈夫だったか?霧野。」
「お、オカン!…じゃなくて三国先輩!あ、ありがとうございます…!!」
「今オカンって言ったよな?」

こうして何とか蘭丸の救出に成功した。
流石はオカン、と言うべきだろうか。



「ちょ、何するんですか三国先輩!俺の霧野を返してください!!」
「そうです、今すぐ俺の霧野先輩を返してください!!」
「…おい狩屋、霧野は俺のだぞ?」
「何言ってんですか、霧野先輩は俺の物です。寝言は寝て言ってください。」
「それはこっちの台詞だ!!」


…なにやら2人は勝手に喧嘩を始めてしまったようだ。
そんな2人を尻目に、オカンは言う。

「よし、この2人はほっといて部活始めるぞ!」
『はい!!!』









後日、喧嘩で部活にでなかった2人には監督直々の特別メニューが課せられる事となる。






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