「……遅い。」



図書室の一番奥の右手にある禁書の棚の近くの壁に寄りかかるのは、スリザリン生のドラコ・マルフォイだ。

ドラコは苛々しながら時計をチラチラ見ていた。

ドラコがなぜ図書室にいるのか、そしてなぜ苛々しているのか、それはグリフィンドール生のハーマイオニー・グレンジャーと関係している。




実は、2人は男女の関係である。

しかし寮が違い、さらにドラコは家系の問題もあるため、2人が付き合っていることは絶対にバレてはいけないのだ。


だから表面上ではお互いいがみ合っているが、流石にずっとそんな演技を続けるのは限界で。

そのため2人は、周りに内緒で図書室で落ち合っている。

図書室にはあまり人が来ないし、特に禁書の棚あたりは誰も近よらないから絶好の穴場なのだ。


「まったく、何をやっているんだグレンジャーは!この僕を待たせるなんて…」

だが、いつもドラコより早く図書室に来ているハーマイオニーが、今日は約束の時間になっても来ない。
おそらく授業が長引いたのだろう。

ドラコが苛々しているのはそのためなのである。



しかし、そんなドラコの耳に廊下を慌ただしく走る音が聞こえてきた。
その足音はこちらへ、図書室へと向かってきている。


「やっと来たか。…ふふ、僕を待たせた分までじっくり可愛がってやろう。」

ドラコはニヤッと笑みを浮かべた。
図書室のドアが開かれるまで、あと3秒。





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