「久しぶりだなぁ…ここに来るの。」
泡沫マジックFFIが終わり、士郎は北海道の白恋中に戻っていた。
まず、白恋サッカー部の皆との再会を喜び、それから学校の皆にFFIでの功績を称えられた。
そしてその後、士郎は雪原に来ていた。
「アツヤ…僕ね、イナズマジャパンのメンバーとして頑張ったんだよ。」
士郎は小さな声でぽつりぽつりと話す。
それに返事をする者は居ない。
「離脱しちゃったりもしたけど、緑川くん達が僕を応援してくれてね…なんとか復帰したんだよ、凄いでしょ?」
そう言いながら柔らかい笑みを浮かべる士郎。
「それでね、皆と一緒に頑張って優勝したんだ。
世界一だよ?世界一。あの時はホントに嬉しかったなぁ…」
優勝した事を懐かしみながら、士郎はふと空を見上げた。
空は信じられない程綺麗で雲1つ無く、澄み切った青色だった。
するとそのとき、ふと背後に気配を感じた。
振り返る士郎。
そしてそこにいたのは紛れもない―――
「アツヤ…!」
見間違うはずの無い、だがこの世に居るはずの無いアツヤの姿。
アツヤは優しく微笑んでいた。
士郎はアツヤが居る事に驚きを隠せず、口を閉じる事すら出来ずに居た。
が、次の瞬間、
「……えっ!?」
士郎の目の前に居た筈のアツヤは、忽然と姿を消した。
もう目の前には誰も居ない。
はたしてさっきのアツヤはなんだったのか。
幻覚?幽霊?
しかし、これだけははっきりと分かる。
「…きっと、アツヤは僕におめでとうって伝えに来てくれたんだ…」
士郎はまた柔らかい笑みを浮かべる。
その頬には、暖かい涙がゆっくりとつたっていた。